内容説明
ルノワールやデューラーらの絵を通じて、見えてくるいにしえの人々の生活や思い、いまに通じるその姿―。「西欧は肉食」というのは本当?ルノワールの描く上品なパーティは実は…。西洋文化への先入観が痛快に裏切られる知的発見に満ちた一冊。
目次
一五世紀―フランス王族の宴
一六世紀中期―フランドル農民の食卓
食卓で手を洗う
英国中世―修道士の肉食
医食同源の古今東西
紀元前四世紀末―古代エトルリアの宴
一六世紀―フェラーラ侯家 結婚の祝宴
女王エリザベス一世―狩りの宴
一九世紀初頭―ロードメイヤーの宴席
一七世紀中期―オランダ都市の食卓〔ほか〕
著者等紹介
大原千晴[オオハラチハル]
「英国骨董おおはら」(東京・南青山)店主。骨董銀器専門家。食文化ヒストリアン。早稲田大学法学部卒業。料理研究家の母がイギリスに転居したのを機会に、日本と英国を行き来する生活が始まる。その過程で骨董銀器の魅力に開眼し、紆余曲折を経て、1991年「英国骨董おおはら」開業。カルチャースクール講師、雑誌連載エッセイ執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nat
42
図書館本。絵画から食文化や時代背景などを解説。「ベリー公のいとも華麗なる時祷書」はいつ見ても煌びやか。1月のフランス王族の宴から当時の貴族の宴の様子がよくわかった。金の塩入れが印象的。修道士の肉食の章では、日本の寺院とは違って精進料理ではなく、日常的に肉を食べていたことに驚いた。また意外にメニューも充実してそう。ワインやビールなども飲めたようだ。他にも興味深い絵画が多数あった。残念だったことは、所蔵館などの記載がなかったこと。2021/09/04
syaori
34
食文化史の観点から食卓を描いた絵画を読み解いてみようという本。古代エトルリアの壁画からエドワード・ホッパーまで、様々な絵が登場します。17世紀オランダの「朝食画」では、魚、レモン、白ワインといった一見質素な朝食が、ワインは遠路はるばるドイツから、レモンは北国では貴重だし、それを盛る錫の器も、銀器より安価とはいえ上層の裕福な市民でなければ持てないものというように、実はとても贅を凝らしたものであることが明らかにされ目から鱗が落ちる思い。そのほか、時祷書に見る中世の食卓やパリのカフェなど興味は尽きませんでした。2017/02/27
rosetta
18
古代のタペストリーから最新はホッパーの「ナイトホークス」まで。絵画に描かれた食卓を考察する。豪勢な宴会や庶民の朝食、関係性の削ぎ落とされた現代に近いダイナーまで。解説されなきゃ何が書かれているのかさえ分からない古い絵画や、何故か惹かれていたホッパーまで。そういう視点もあるのかととても楽しい読書であった。アブサンで1項目取り上げられていたのは酒を扱う仕事をしているものとしては嬉しい。2018/09/25
スー
7
「ロードメイヤーの宴席」19世紀初頭のフランスでは宴席はなんと芝居のように見物者席が設けられていた?!私だったらどう視線を動かしディナーを食べ隣の人と話し笑うのだろうか、、、なんて文化なんだい。と思ったけど今だってテレビで芸能人がご飯を食べる姿見てますわ。2022/12/10
rumi
7
作品の生まれた時代背景。これがこの著者半端なく博識!おかげで流れるようにその時代に思いを馳せる贅沢な時間を堪能できる。当時の西洋食文化のみならず宗教感や季節感へまで言及された明解な絵解き!おもわずもっとおかわりしたくなってしまった♪2013/01/17
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- 和書
- ソウルの位牌 集英社文庫