内容説明
「精神の革命」を主唱した18世紀ヨーロッパの「二人の王」、ヴォルテールとフリードリッヒ、―その愛憎半ばする交友関係を軸に、マリーア・テレージア、リシュリュー、ポンパドゥール夫人等、当代の代表的人物をも活写する一大ドラマ。行動する哲学者ヴォルテールの舌鋒によって、現代ヨーロッパの源泉がまざまざと蘇る。
目次
1 シャトレ夫人とシレーに隠遁
2 ブリュセル旅行
3 皇太子フリードリッヒ
4 プロシア王フリードリッヒ2世即位
5 フリードリッヒ2世と会見
6 シレジア侵入とモルウィッツの勝利
7 文筆界での活躍・論争
8 プロシア王、オーストリアと和約
9 翰林院会員落選の顛末
10 密使としてプロシアへ
11 プロシア王の日常と逸話
12 プロシア王との秘密交渉
13 ポンパドゥール夫人
14 プロシア王の招聘
15 フランクフルト事件
16 ジュネーブ近郊に定住
17 7年戦争始まる
18 プロシア王の絶望と栄光
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
23
1/3)回想録・・・といっても,量的に本書の半分程度なのはともかくも,回想されている時期が1733年(39歳)から1760年(66歳)まで.カラス事件や『寛容論』以前で終わっている.さらに内容も,フリードリヒ大王との係わりや欧州の政情の話が中心で,たとえば,自作への言及は少なく,また,シャトレ夫人の死などは「非常に取り乱した」(p.74)とは言うけど,なんだかあっさりしている.つまりこれは,いわゆる回想録ではなく,「フランクフルト事件」に係わる“パンフレット”のようなもの.そう思って読むと面白い.2022/05/06