出版社内容情報
日本人と英語との関わりを歴史的に辿りながら、日本人が英語とどのように接してきたかを振り返りいま改めて英語を学ぶ意義を考える。
内容説明
幕末から明治のはじめに訪れた異常なまでの英語ブームは、帝国憲法が公布された明治22年頃から急激に衰え、そして大正デモクラシーとともに再燃してゆく。平成の今日まで、幾度となく繰り返されてきた「親英語」と「反英語」との往復運動の歴史から、私たちは何を学び、それをどう活かしていくべきか。
目次
第1章 日本の教育を点検する
第2章 揺れる日本人の言語・文化意識
第3章 日本人の異文化理解の考え方
第4章 日本の英語教育を糺す
第5章 英語教師に問われるもの
第6章 新しい時代の異言語教育を考える
著者等紹介
大谷泰照[オオタニヤステル]
昭和8年、京都府生まれ。昭和31年、大阪市立大学文学部卒業。桃山学院大学、関西大学、大阪大学、滋賀県立大学、各教授を経て、名古屋外国語大学教授。大阪大学名誉教授、滋賀県立大学名誉教授。言語教育政策専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobu A
7
2007年初版。大谷泰照先生著書初読と思いきや、以前にも他著を読んでいた。そして、本著との出合いに感謝。一言で表現するなら「犀利で深遠」。国際数学学力テストの話から始まり、最初は雲を掴むような出だしだったが、事実を緻密に積み上げ、慧眼とも言えるような分析と考察に息を呑む連続。歴史を紐解き、国際比較を交えながら日本の英語教育の歪みを浮き彫りに。「異文化理解」の本質を学んだ気がする。後半に促進の為の具体的提案がなかったのだけが唯一の不満。しかし、宝物を見つけたような感覚。珠玉の一冊。読み逃すところだった。2022/01/13
takao
2
ふむ2023/11/26
Jinjin
1
英語が唯一・最高のものと思う生徒を生み出していることが欠陥教育であると看破する。世界の言語の中の英語として、言語教育をより相対化させ、広い意味での異文化理解に努める必要があると実感。CEFRがEUで導入された背景なども何も知らず、外部試験化でその単語を連呼するのは恥ずかしいことだと反省。2020/04/07
hiromin3
1
とても、バランスが良く取れた英語教育論だと思う。英語以外の外国語も大事だということがよくわかる。英語教育批判がグローバル化批判になってしまう場合があるが、この著者は、外国語を異文化の理解と結びつけているという点で貴重だと思う。2018/02/20