内容説明
「童謡」=無邪気な子どもたちがうたう歌、というイメージとは程遠く、隠喩やブラックユーモアを駆使して権力者を揶揄し呪う歌―それが中国の童謡である。激動の古代史を彩る数々の童謡を読み解けば、人々の恨み、悲しみ、希望…切なる思いが浮かび上がってくる。「童謡」に詠みこまれた漢代宮廷権力闘争のドラマ。
目次
第1章 民意と童謡―揺籃期
第2章 童謡の起源―黎明期
第3章 呂太后をめぐる歌―形成期
第4章 元帝・成帝のときの童謡―開花期
第5章 前漢末・王莽新から後漢初の童謡―空白の二十年
第6章 後漢の童謡―隆盛期
第7章 後漢末の童謡―躍動期
第8章 火星の使者がうたう童謡―展開期
著者等紹介
串田久治[クシダヒサハル]
1950年、大阪に生まれる。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。大阪大学助手、愛媛大学助教授、大阪府立大学総合科学部・同大学院人間文化学研究科教授を経て、桃山学院大学文学部教授・同大学大学院文学研究科教授。専攻は中国哲学、中国社会思想史。大阪大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Annette2
1
古代中国に流布した未来を予言した童謡(主に漢代)を色々と取り上げている。もっとも、その手の童謡は知識人が暗に政権を批判するために流布させたもので、そのなかで予言が的中したものが史書に残るのだ、というのが筆者のスタンス(私にはそもそも、その時代に流布していたということ自体眉唾に思えるのだが)。タイトルに「古代」とあるために仕方ないのだが、個人的には中世以降のものも知りたかった。ただ時代を絞ったことで、何気に漢代の宦官と外戚の権力闘争史を概観できる本にもなっていて、それはそれで良しか。2018/10/20
叔嗣(しゅくし)
0
歌は伴奏のあるもの。謡は伴奏のないもの。劉邦の母親との間男説はこの本で知った。