内容説明
「一つ詩を作らうか」短いご生涯に1,367首もの漢詩を残された大正天皇。和漢の漢詩に精通した著者によって初めて明らかにされる、“詩人天皇”のきらめくセンス!大正天皇の漢詩約80首を精選、原文・書き下し文とともにわかりやすく紹介。
目次
はじめに
“詩人”天皇の誕生
三島の手ほどき
皇太子の青春
巡啓の中で
律詩を作る
古詩の面白味
時事を詠う
折々のうた
詠物と題画
著者等紹介
石川忠久[イシカワタダヒサ]
東京都出身。東京大学文学部中国文学科卒業。同大学院修了。文学博士。現在、二松学舎大学顧問。二松学舎大学・桜美林大学名誉教授。(財)斯文会理事長、全国漢文教育学会会長、全日本漢詩連盟会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
35
過目黒村 雨余村落午風微 新緑陰中蝴蝶飛 二様芳香来撲鼻 焙茶気雑野薔薇 #感想歌 漢詩詠む意思と感情奥底に汲み取り難し汲み取り希望2016/06/15
よしださいめい
1
歴代天皇の中でも抜きん出て、漢詩をお読みになられた大正天皇。 (千三百首を超える) 平易な解説でわかりやすく、いかに大正天皇に漢詩の知識・素養がおありになったのかわかる。 お読みになった漢詩には古典を踏まこの本を締めくくるに当たって、筆者が読んだ漢詩も素晴らしい。 結句より。 「但恐幾人能細看(但だ恐る幾人か能く細かに看ん)」えたものも多い。 著者も述べていたように、動乱期に生まれているのでなく、平穏な時代に生きておられたならば、「その文人の気質は伸び伸びと揮われたのではないか」と思う。2021/05/13
西野西狸
1
病弱で脳病のイメージがあり、まさか歴代天皇の中で一番漢詩を詠んでいるとは知らなかった。三島中洲の手ほどきを受け、昔の詩人に倣った大正天皇の漢詩はとてもみずみずしく、とても面白かった。大正天皇実録を読んでみたいとも思った。2014/09/25
三条院アルパカ
0
私に漢詩の素養は少ないが、読んでいるだけで清々しい心持ちになる詩が多かった。字句の選び方などはまだまだ突き詰める余地もあるのかもしれないが、自然を愛し、家族を愛するまっすぐな気持ちが深い素養に裏付けられて表現されているのは伝わってくる。皇太子時代は精力的に公務に励まれたという。今の世に生まれていれば国民に愛される人柄と文化的素養の持ち主として親しまれたことだろう。いい本でした。2015/04/15
りきにうす
0
歴朝最高の千首を超える漢詩を残された大正天皇の漢詩を味わうことができる。原武史やディキンソンの本もよんだが、漢詩については少し触れているだけで、そういう意味ではとても稀有で優れた本である。大正天皇に対する誤解はまさにナンセンスなのだ。2015/02/27