内容説明
ようこそ、科学と幻想の中国へ!本邦初・中国SF小説史、上下巻にて登場!下巻では、新中国成立以降の大陸・台湾・香港の作品を紹介、新時代へと向かう中国のSF“科学幻想小説”の歩みを追う。
目次
第1章 「明るい理想国家」の誕生
第2章 文革の嵐を耐え抜いて
第3章 新たなる展開と模索
第4章 再度の受難を乗り越えて
第5章 新世代の旗手たち
第6章 そのころ台湾・香港は
第7章 科幻小説の現在・過去・未来
著者等紹介
武田雅哉[タケダマサヤ]
1958年、北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科教授(中国文化論講座)
林久之[ハヤシヒサユキ]
1944年、岩手県生まれ。東洋大学大学院文学研究科(修士課程)にて中国哲学を専攻。修了後は静岡県で高校の教壇に立つかたわら中国科幻小説の翻訳紹介を同人誌中心に続けている。1985年より二年間北京外語学院(現・北京外語大)にて語学講師を経験
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴィオラ
7
とりあえず「SFとは、かくあるべき」とか考えちゃうのは(ある意味必要なのかもしれないけども)正直デメリットの方が大きい気がしなくもない。なにかしら制約がある状態での創作は、どうしても窮屈になりそうで…。まぁ、その制約も含めての中国SFらしさなのかもしれないけど。 粗筋と共に紹介されている何作かは、結構読んでみたいと思えました。巻末にある邦訳リストが助かると同時に、リストがたったの数ページで収まってしまう現状に寂しさも感じます。中国SF全集…うん、読んでみたい!2018/10/07
渡邊利道
4
戦後の中華人民共和国成立からで、ソ連の影響下に明るい未来を志向する啓蒙的でハードな作品が紹介され、すでにある抑圧が文革で一気に高まるのが、中国共産党やばい感半端なくて怖い。様々な苦難を乗り越えていわゆる現代的なSFらしい視点が導入され、わりと面白そうな作品が増えていく。固有名ではやはり韓松が飛び抜けて面白そう。台湾のSFは割と初期から文学的な質が高かったらしい(知ってる作品も出てきた)。20世紀までの記述になっているので、最近の中華SFとの間を埋める概説書を誰か書いてくれないだろうか。2019/08/08