感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つみれ
29
三国志の世界をある程度まで味わうと、正史と演義とはどこが違うのかという疑問が頭をもたげてくる瞬間がある。本作はまさにその頃が読み時といってよい。歴史系の書籍にありがちな小難しい表現を用いず、飾らず軽妙な語り口で三国時代を解説してくれているので非常にわかりやすい。「悪口を言うのが好き」という筆者が、古今の歴史家、研究者の解釈の甘さを歯に衣着せぬ物言いでぶったぎっていて、実に痛快だ。歴史書の記述が「事実」なのではなく、あくまで解釈の一つなのであるという大事な視点をそれとなくほのめかしているのが粋である。2017/01/08
ピオリーヌ
11
平成六年の刊。(同著者の『三国志きらめく群像』平成九年刊は『三国志人物縦横談』をちくま文庫化したもの)友達に絶賛された通り、魅力的な文章であっという間に読み終わった。考察の点で多少誤りもあるらしいが、それ以上に魅力が勝る。正史三国志をベースに個々の人物像に迫る内容。北宮伯玉を取り上げながら、趙雲を取り上げないこの人選が唸らされる。また建安二年の曹操による鍾繇を派遣した韓遂らへの慰撫について、関中を今の日本の三多摩地区(吉祥寺駅より西の一帯)に例えるやり方が斬新でわかりやすい。「東京の中心ではないけれども2024/10/10
もじゃ
0
面白かった。正史の側の人物象を語っているのでこれを読むと評価が変わる人物もいるかもしれない。2012/06/29
竜崎
0
陳寿の史書に留まらず様々な文献から人物を描き縦横無尽に語られる。三国志の人物だけに留まらず古代中国の慣習にも触れらるので想像をよりかきたてられる。ただ語られた人物が少なかったので著者の博識な知識に裏付けされた軽妙酒脱な語り口で、より多く書いてもらいたかった。2011/06/13
ポンコツ太郎
0
演義で伝えているAという面だけはなく、何人かの人物を抜粋して、正史の記載にあるBやC面を引き出し、立体的に見る様に手助けしてくれる本。2011/05/23