内容説明
日米ビジネスマンの対中交渉経験を検討し、特に文化的制度的要素から中国人の行動様式を解明して、誤解や摩擦を回避するための指針を提供する。政府間交渉も射程に入れた、実用的で役に立つ異色の実践的中国論。
目次
第1章 なぜ中国との交渉がむずかしいのか
第2章 交渉の舞台
第3章 前哨戦
第4章 実質的な交渉過程
第5章 交渉に潜む中国人の感情
第6章 対中交渉の基本原則
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
3
本書の目的を著者は、対中交渉のための戦略案を作ることではなく、中国的な慣行を見極める手段として、民間部門の交渉経験を検討することで誤解を回避し、政府間の交渉の一助とすることと述べる。対中交渉の基本原則を6つ挙げている。この中でも特に、相手に恥をかかせることで交渉を優位に立とうとするとし、また相手に甘えることで大きな見返りを期待するともいう。中国人の交渉スタイルについては交渉の過程で、1.具体的な合意事項をめぐる交渉といった表面的レベルと2.「感情的な契約」と取り決めようとする潜在的なレベルがあるという。2013/01/29
May
2
中国、韓国、台湾等の方々と仕事をすることがたまにある。日本人の考え方(≒慣習)は違う、と感じることが多いのは確かだ。本書('92出版)の中国と今の中国ではだいぶ様相が変わっているわけだが、特に中国の交渉スタイル、というか私が付き合った人・会社のそれは日本のとは違うということは変わっていない。ざっと読んで、こういうもんなんだと心構えを作っておくほうがいいかも。何があっても動揺しなくて済む(かもしれない)。中国社会の見えない掟(講談社現代新書)も合わせてどうぞ。2018/11/25