出版社内容情報
半世紀にわたる大規模調査の成果を中心に、「変化するもの」としての敬語の諸相を多様な角度から検討する。
内容説明
「間違い」ではなく「変化」。愛知県岡崎市で実施された半世紀にわたる大規模調査から何がわかったのか。「変化するもの」としての敬語の諸相を多様な角度から検討する総合的敬語論。
目次
第1章 現代敬語の位置―乱れではなく変化(敬語は発展途上―この本のあらまし;敬語はどう調査されてきたか ほか)
第2章 岡崎敬語調査の理論的成果―岡崎で何がわかったか(年をとると話が長くなる;年をとると話が丁寧になる ほか)
第3章 岡崎敬語の位置づけと発展―理論と研究対象の拡大(敬語変化と方言の対応関係;岡崎地方の伝統的敬語の地理・歴史 ほか)
第4章 岡崎敬語の研究法―調査データの公開(岡崎敬語調査から学ぶ実時間調査の方法論的落とし穴;敬語の調査はどのように分析するか)
著者等紹介
井上史雄[イノウエフミオ]
1942年山形県生まれ。東京大学大学院言語学博士課程満期退学。東京外国語大学教授、明海大学教授、国立国語研究所客員教授を歴任。東京外国語大学名誉教授、明海大学名誉教授。専門は社会言語学・方言学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
9
岡崎敬語調査(第一次1953年、第二次72年、第三次08年)の報告書にあたるもの。NHK出版新書『新・敬語論 なぜ「乱れる」のか』 も同様▲新しい知見は2つ/「敬語は成人後に身につく」。当たり前に感じるが、言語学的にはコトバは若いうちに習得され以後は変化がないという前提があったため。もう一つは「聞き手を目指す敬語」への変化。対面する相手への配慮として敬語が使われる。相手を非難したり罵ったりすることを避けるようになった。慎ましさの発露ではなく、相手との対立をリスクととらえ他者を警戒する態度ではないか …2017/11/04
そ
0
これまで「~ッス」という言葉づかいを敬語だと思ったことがなく、あまり良い印象もなかったのですが、そういう言葉をつかう理由に「相手にあまり気にしてほしくないから」というものがあり、すこし「~ッス」という言葉づかいをする方の見方が変わりました。 方言敬語について考えたことがなかったので、その話が出てきたときは驚きました。たしかに意識して聞いてみると、敬語のなかにも方言はあるんですよね。 卑罵語の節での留学生の話は、なかなか興味深く読めました。2019/09/15