内容説明
入試「小論文」の限界に大学は気づいている。AO入試の最前線に立ってきた著者が、豊富な経験とデータをもとに現状の「小論文」「志望理由書」、高校の「書く」指導について問題のありかを探り、これからの展望を示す。
目次
第1章 「書くこと」に苦慮する大学生(大学初年次生に求められる「書く力」とは;大学初年次生の語彙力)
第2章 大学入試における「書くこと」の実態と課題(文章表現を課す大学入試と高校生の学習経験;大学入試「小論文」の一〇年―出題傾向の移り変わり ほか)
第3章 AO入試「志望理由書」はどう書かれ、どう読まれるか(選抜ツールとしての実態と限界;学習材としての可能性)
第4章 これからの「書くこと」の指導と大学入試(高校教育課程が目指すもの;大学の教育プログラムに見る「書くこと」の指導 ほか)
著者等紹介
島田康行[シマダヤスユキ]
1963年、横浜市に生まれる。筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。私立中学・高校教諭、茨城工業高等専門学校教諭、文部省教科書調査官等を経て、筑波大学人文社会系教授。アドミッションセンター長。日本国語教育学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユーユーテイン
10
過去10年間の小論文入試の出題傾向から、大学側が測定目標とするものが、「興味・関心」「自己表現力」「思考の柔軟性」「発想力」などの受験生の人間性や個性など計測がしにくいものから、「文章表現力」「論理的思考力」「理解力」「読解力」など結果が可視化、数量化できるものへと移行してきたということだった。また、合格者の志望理由書を調べた所、8割が指導を受けており、書く内容には定型化、画一化の傾向が見られるという。「書くこと」について日頃我々が疑問に思うことを、著者は丹念にデータを取り、誠実に考察した労作だった。 2014/08/09
tolucky1962
5
読解力と表現力は別で,読解力中心の入試国語で表現力が不足。小論文受験は学習材料となるが他の生徒は表現を習わない。小論文測定は興味関心から論理的思考力へ移り,志望への関心・知識を深める高校とズレ。大学は小論文で何を測るかを明確にすべき。AO志望理由書では推敲指導を受ける。合格者は課題研究のある高校出身が多い。AO塾は対話で自分理解,目的具体化,関連付け。大学はレポート・論文,プレゼン,議論に注力。書ける大学生育成のため入試・高校教育を改革すべき。小論文入試や志望理由書は良い学習材料になる。2023/01/29
澪標
1
良書。2012/10/22
ぽな
0
最後の一節はいつも正座して読む。2020/01/05