内容説明
「地下50メートル以上」=「地下50メートル以下」という不思議、「消防署長」と「消防署署長」の不思議な関係。「味わわせる」か「味あわせる」か、「1日おき」に飲む薬を2日後(48時間後)に飲む不思議、など、Q&A20題。
目次
「以上」か「以下」か
「味わわせる」か「味あわせる」か
あなたと夜と音楽と
「消防署長」か「消防署署長」か
ボラは何回名前を変えるのか
「1時間おき」と「1日おき」
「10枚」と「10PACK」
これはたいへんなものですよ
死神博士の驚き
トマソンって、たまにあるよね
次の停車駅は?
夜もふけてまいりました
ホテルと人妻
「ヘリコプターがある」か「ヘリコプターがいる」か
「クラブがボールに当たる」のか「ボールがクラブに当たる」のか
揚子江の釣り
「その気にさせる」か「その気にする」か
「日本に天然資源がとぼしい」か「日本が天然資源にとぼしい」か
考える人
まずいのか、うまいのか
著者等紹介
定延利之[サダノブトシユキ]
1962年大阪生まれ。1998年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。神戸大学国際文化学部教授。言語とコミュニケーションの接点に関心を寄せる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てながあしなが
9
図書館本。日本語の誤った表現を取り上げて、「こういう言い方は間違っている!」と指摘する本ではなく、「間違っていると思われそうだけど実は重要な指摘を含んでいる言語事象」を取り上げて、言語のエッセンスを伝える良書。こういう本と早く出会いたかったし、もっと多くの人に読まれていい。言語を専攻する学生だが、知らないことも多くあり、興味深く読めた。「日本語のよくある間違い」みたいな本はたくさん読んできたが、これまででその手のの本で得た知識とは全然かぶらなかったので、どれも新鮮な気持ちで読めた。2017/12/18
shouyi.
4
日常でよく使われる日本語表現について取り上げ、写真、図などを多用したとても読みやすい本。よく使う表現がたくさん出てくるので、日頃引っかかっていた事柄のいくつかが氷解した。定延先生はおもしろい。2022/03/05
知降 星人
2
「おじゃる」は平安時代よりもっと後の、室町時代末から江戸時代初期にかけての京都の庶民ことばだそうで、本物の平安貴族は「おじゃる」などとしゃべっていません。 どうするおじゃる丸⁉2023/11/04
舟華
1
定延利之先生の著作。普段生活していてたまに「ん?」と気になるけど調べることすらせずにスルーしてしまうような言葉を題材にして楽しく解説してくれる本。「消防署長?それとも消防署署長?」などなど身近でごちゃごちゃしていなくてとてもいい。「日本語って興味深いだろ?」とにこにこワクワクしながら訴えかけられている印象すら持った。2024/01/13
たろーたん
1
「消防署長か消防署署長か」。正しく言うと、後者なんだけど…もやっとする。著者によれば、これは前者が正しいらしい。著者は「権威の出所が明らかでない存在」の場合は長い方が好まれるとしている。例えば、自主的・非公式な集まりのクラス会では「クラス会会長」と言うが、学校の運営組織の一部であり権威の出所がはっきりとしている生徒会は「生徒会長」と寸詰まりの形で言っても問題ない。消防署長、神戸市長、神戸大学長なども同じ。「東京駅長の田中」は不自然だけど、「JR東日本、東京駅長の田中」は通るのは権威の出所が明らかだから。2023/01/12