内容説明
提唱以来、半世紀を経過した生成文法の本来の目的とは何だったのか。自然科学の一分野としてこれから目指すべきものは何か。第一線で活躍を続ける著者が言語学の核心を説く。
目次
第1章 自然科学としての言語学―生成文法理論とそれを取り巻く知的状況について
第2章 生成文法の方法と目標
第3章 普遍文法と日本語統語論
第4章 極小モデルの展開―言語の説明理論をめざして
第5章 言語の普遍性と多様性
第6章 ノーム・チョムスキー小論
第7章 日本の理論言語学―教育と研究
著者等紹介
福井直樹[フクイナオキ]
1955年東京都生まれ。1986年マサチューセッツ工科大学(MIT)言語学・哲学科大学院博士課程修了、Ph.D. MIT認知科学センターポストドクトラル・フェロー、ペンシルバニア大学言語学科助教授等を経て、現在、カリフォルニア大学アーバイン校言語学科教授。理論言語学、認知科学専攻
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感想・レビュー
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Omelette
2
題名は「自然科学としての」となっており、実際それはチョムスキーの強く主張するところである。まず、心と脳は一つである、という直観があり、さらに、機能と構造は並行的に対応する、という仮定があり、よって、最終的には、脳の構造を見れば、言語機能のことはすべてわかるだろう、と。これは言語の研究によって編み出された見解ではなく、基礎的な信念だ。福井氏は「自然」ぬきの「科学」というところに力点を置く。「科学」とは、無数の現象から、一般性、原則、普遍性を見い出し、モデルを作り、それを検証していく、という研究態度。2011/10/19
メタファル
1
生成文法の基本的なスタンス、言語観、目指すべきところ、そして、言語学というものを物理学等と同じような自然科学にしていくにはいかにすればよいか、ということ、そして、最後に日本の言語学界(言語学教育も含めて)がこれからどうあるべきか、などについて書かれている。言語学を科学にしていくんだ、という筆者の姿勢がひしひしと伝わってくる。近代科学の特徴である「観察(実験)、帰納、仮説発想、演繹、データの評価。(観察・実験による)仮説の検証(あるいは反証)。」を言語学に取り込まなければならないというポイントはかなりために2010/04/22
れぐすぺ
0
この本の2章で生成文法の概要がつかめます。