出版社内容情報
シリーズ解説:
「彼を知りえたことは私の生涯の中で最も刺激的な知的冒険の一つであった」という B・ラッセルの証言を引くまでもなく、ウィトゲンシュタインの哲学的思索の軌跡は、二十世紀の知的世界が遭遇した一つの事件であった。比類のない分析力のおもむくところは、論理的に完璧な言語の構想から、具体的な語の使われ方に文法を見出そうとするところにまで及び、考察の照準は、一貫して言語の批判に向けられていた。
内容説明:
独創的意味論の展開
『数学の基礎』は数学と論理学の哲学にかんするウィトゲンシュタインの考察の集大成であり、『哲学的文法』第二部以来の主要テーマ「数とは何か」「数学とはどういう学問か」に答えていよいよ明確な反プラトニズムの立場をうちだしたものである。数とは、それに対応する仮定する必要のないものであること、数学とは、ある絶対的真理を発見するのではなくて問題処理の方式や規則を発明する学問に他ならないこと、等の主張を通じて、『哲学探究』に結実する独自の意味論のケース・スタディを試みた野心作である。
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