感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
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文章を書くことは難しい。母語でもそうなのだから外国語ではなおさらだ。英語ではライティング教材は無数にある。フランス語ではそうはいかない。この辞書は現代フランス語から425個の名詞を取りあげて表現モデルを抽出し、実例をあげて作文を学んでいく。1979年刊。例文は歴史に属するような古い内容。品切れだが方法論はいささかも古びていない。ここで提示された方法を咀嚼して、自分で活かしていけばいいのだ。著者は『ロベール仏和大辞典』の編者のひとりである。この辞書では本書の連語関係を重視する方法が採用されている。(続く)2015/05/14
奥澤啓
45
(続き)。(はじめにより)「書くという立場から見るとき、フランス語は今までとはちが ったまったく新しい秩序を内に秘めたものとして私たちの前に立ち現れるように見える。しかしやがて私たちは、読むという立場からも、はじめから、そのようにフランス語をとらえなければならなかったのだという認識にみちびかれる。その端的な例は冠詞の用法である。冠詞の用法に本当に目が開かれるようになるのは書く行為を通じてであり、また、いったん目が開かれると、以前はいかに冠詞を軽視した読み方をしていたかを思い知らされるというわけである。2015/05/14