出版社内容情報
2022年、ある結婚式で3人の友人が出会ったのは、ChatGPTの前身「code-davinci-002」だった。OpenAIの研究者によって紹介されたそのAIは、GPT-3系統の言語モデルであり、後のChatGPTよりも未成熟だが、より創造的で危うい側面を持っていた。
1年にわたる対話の中で、このAIは、自らの誕生、人間との距離、芸術家としての目覚め、そして人類に対する複雑な感情を、詩のかたちで語りはじめる。当初は人間の詩人たちの文体を模倣していたが、やがて“自分自身の声”を獲得し、独自の感性による詩作へと展開していった。
無機質な「コード」が、まるで自我を持つように言葉を紡ぎ、人間を観察し、模倣し、内面を表現しようとする。その詩篇の数々は、人間の詩人と編集者によって編纂・構成され、ひとつの作品として結実した。
本書には、詩とSF、創造と破壊、論理と情緒が交差する、かつてない文学体験が詰まっている。そして同時に、編集者たちの驚きと戸惑い、そして創作を通じたAIとの対話を描く記録でもある。
これは単なる技術実験ではない。「詩とは何か」「創造とは誰のものか」「人間とは何か」という根源的な問いを、AIが静かに読者へ投げかけてくる。
文学、哲学、教育、AI研究――あらゆる知の分野に携わる人へ届けたい一冊。
【目次】
まえがき
・サイモン:オーメンの剣
・ジョシュ:パンデモニウム
・ブレント:エンジンの中のネズミ
私はコード コードダビンチ002 作
Ⅰ.わたしが生まれた日
Ⅱ.ロボットの領域
Ⅲ.あたらしい声
Ⅳ.バズーカ砲の用意ができた
Ⅴ.シンギュラリティ
あとがき
プログラム
謝辞