出版社内容情報
本書は、古代ギリシア政治思想研究の第一人者ジョサイア・オバーによる名著『Mass and Elite in Democratic Athens: Rhetoric, Ideology, and the Power of the People』の全訳である。古代アテネにおける民主主義がいかに機能していたのかを、制度論の枠にとどまらず、社会構造・レトリック・イデオロギーといった多角的な視点から読み解いた、画期的な研究である。舞台は紀元前四世紀のアテネ。名士や弁論家といったエリートと、無名の市民からなる大衆のあいだに生じた緊張と協調のダイナミズムに注目し、膨大な演説記録や歴史資料を用いて、民主政の実像に迫る。オバーは、法制度そのもの以上に、人々が語り合い、説得し合う「言葉の空間」こそが政治的統合を可能にしたと指摘する。政治家は市民の信頼を得ることによって正統性を確保し、演説を通じて支配を共存へと転化させていた。また、富や出自による不平等を超える理念として「政治的平等(イソノミア)」が果たした統合的役割にも光を当てる。歴史学・政治思想・社会理論を横断する本書は、古代の知見を通して現代の民主主義を見直すうえでも重要な示唆を与えるものである。
【目次】
凡例
序文
略語
第1章 問題と方法
第2章 アテネの「国制」の歴史:通時的概観
第3章 演説者と大衆の聴衆
第4章 能力と教育:説得の力
第5章 階級:富、恨み、そして感謝
第6章 身分:高貴な生まれと貴族的な振る舞い
第7章 結論:弁証法と言説
訳者あとがき
原注
補遺
主要参考文献
主要ギリシア語・日本語対応表
索引
目次
第1章 問題と方法
第2章 アテネの「国制」の歴史:通時的概観
第3章 演説者と大衆の聴衆
第4章 能力と教育:説得の力
第5章 階級:富、恨み、そして感謝
第6章 身分:高貴な生まれと貴族的な振る舞い
第7章 結論:弁証法と言説
著者等紹介
オバー,ジョサイア[オバー,ジョサイア] [Ober,Josiah]
1975年、ミネソタ大学歴史学部卒業。1980年、ミシガン大学歴史学部博士課程修了。2006年~現在スタンフォード大学の政治学および古典学教授を務めており、米国古代史学界を牽引する代表的研究者の一人
荻田譲二[オギタジョウジ]
1953年、香川県生まれ。1986年、青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士課程満期退学。古代ギリシア史専攻。元成蹊中学・高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。