出版社内容情報
中央アジアで勃興し、4世紀以降はシルクロードの交易で主導的な役割を担ったイラン系のソグド人。東へと拡大し、唐帝国内にも拠点を持つほどの大きな力とネットワークを持っていた。だが、やがて他の民族に飲み込まれる運命をたどり、11世紀以降、歴史の彼方へと消えた。
時は下り20世紀初頭、シルクロードの要衝・敦煌近郊ではソグド商人たちが書いた「古代書簡」が、トルファンでは漢文仏典の裏に書かれたソグド語の断片が相次いで見つかる。本書には、「古代書簡」の全訳と、日露に残る未研究断片の校訂と考察を収録する。いずれもソグド語研究の世界的権威である吉田豊・帝京大学文化財研究所客員教授(京都大学名誉教授)の労作である。
【目次】
はじめに(山内和也)
第I部 ソグド語の「古代書簡」(吉田豊)
1章:古代書簡:古代書簡の翻訳と訳注
2章:古代書簡の歴史的背景とシルクロード交易など:書簡IIのsyskwnyをめぐって
第II部 ソグド語断片研究(吉田豊)
1章:大谷探検隊将来西厳寺橘文書と旅順資料
2章:サンクトペテルブルク東洋写本研究所所蔵のDx文献中のソグド語断片
3章:漢文面の情報とソグド語面の研究