出版社内容情報
不意に訪ねた姉のアパートは、部屋の窓に目張りがされリビングの真ん中には七輪が置かれていた。姉はしどろもどろで言い繕うが、それは明らかに練炭自殺の準備であり、敦はそれを意図せず未然に防いだのだ。よく見ると自慢の美貌はくすみ自信に満ち溢れた生気は消え失せ、敦の知らない姉がそこにいた。姉は会社の上司からパワハラを受け、追い詰められていたのだった。――「第三回ステキブンゲイ大賞」審査員特別賞受賞作である表題作に加え、まるで仕方なく生きているかのように淡々と日常を過ごしていた男の前に、突然かつての想い人の娘が現れたことで起きた顛末を描いた書き下ろし作「どんどんキミに似ていく」を収録したデビュー作品集。
内容説明
思いがけず、練炭自殺を図る寸前の姉の部屋を訪ねた俺。美貌にも能力にも自信の溢れたかつての面影は消え失せ、生気のない虚ろな目をした姉は、どうやら会社の上司からパワハラを受けているようだ。―表題作「姉が壊れた。」に加え、書き下ろし作「どんどんキミに似ていく」を収録したデビュー作。第三回ステキブンゲイ大賞審査員特別賞受賞作品。
著者等紹介
月島真昼[ツキシママヒル]
1991年生まれ。大阪府出身。第三回ステキブンゲイ大賞審査員特別賞を受賞し本作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sachidoremi
11
心を安定に保てるのか、壊れるのかは、環境次第。 立ち向かうか、逃げるか、そこは本人次第。 落ちたとき、自分に力が残ってなかったら、頼れる人が味方にいるかどうか次第。 生きていれば、いろんな事を感じるし、いろんな困難があって、昔に乗り越えたつもりでも、心に傷が残って、人の心が形成されていく。その傷を優しさでカバーして生きていければ、そうなればいいなと思う。2025/02/07
トト
6
貸したSwitchを返してもらいに久しぶりに姉のアパートを訪ねたら、窓をガムテープで目張りし、リビングに七輪と煉炭が置いてあるとこに遭遇するという導入。状況としては深刻なのだが、それを「ウケる」とする弟のぶっきらぼうだが軽快な語りが、優しさを感じる。姉弟ならではの関係性が面白い。こういう話結構好きかも。もう一篇は、昔好きだった破天荒な女の子の娘(15歳)が突然やって来て一緒に生活する独身アラサーの話。社会問題にも触れながら、なんだかんだハートフルな話。デビュー作とのことなので、今後期待したい作家です。2025/03/01
his
5
姉が壊れた。てか壊れてた。(原文ママ)から始まる、怒涛の口語1人語り文。地文に「草」って書いてある小説、初めて読んだ。読み出しは、どこか2ちゃんのSSを読んでいるような雰囲気でテンション上がったんだけど、20頁で限界。読みずらくて読みずらい。内容は悪くないけど、ネットでザラ読みするなら面白いレベルで、これにお金を払って書籍を購入する価値があるかと言われると…。この文体が賞を取るためにインパクトを狙って態と書いたのであれば才能あり。これしか書けないのであれば今後は厳しい気がする。2025/04/13
金平糖
4
D。2025/02/15
がみまぐ
3
図書館新刊コーナーで、たまたま手に取ったけど、当たり。弟の飄々とした感じと、一人語りの文体も、けっこうはまった。本作デビューとのこと。これからに期待。2025/04/05