内容説明
殺戮を重ねるユアンは、寺院を屍で埋めていく。母親の記憶を喪失する内部の苦悶が肥大。しかしベトナム軍のカンボジア侵攻によって、ポル・ポト体制は崩壊。その混乱の中でついにユアンは父への復讐を果たす。難民に紛れてタイ国境へ向かう。敦志の父親は、北部ルソンへの逃避行を辿り、飢餓との戦いのうちに、原住民を殺し、仲間を破傷風への恐れから生きたまま焼却する。追いつめられ最後には人肉に手を出す。人間の限界に迫り、生と死の境目に戦争と生の真実を対峙させ、生きる意味を問う衝撃の純文学長篇。
著者等紹介
五十嵐勉[イガラシツトム]
1949山梨県甲府市生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒。79「流謫の島」(講談社刊)で第2回「群像」新人長編小説賞受賞。98「緑の手紙」(アジア文化社刊)で読売新聞・NTTプリンテック主催第1回インターネット文芸新人賞最優秀賞受賞。2002「鉄の光」(健友館刊)で第7回健友館文学賞大賞受賞。17「破壊者たち」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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