内容説明
YouTubeに先んじること3年。2002年5月、Winnyは誕生した。天才プログラマー・金子勇の人生と日本のイノベーションの未来を葬ったものの正体とは?そして日本に残された道はどこに?
目次
第1章 シリコンバレーの興隆と日本の停滞
第2章 世界の最先端を走っていたP2P技術の商用化を遅らせたウィニー事件
第3章 対照的な米国版ウィニー事件判決とその後も勇み足が続く日本の検察
第4章 オラクルの1兆円の損害よりも社会全体の利益を優先させた米最高裁
第5章 金子勇の悲劇を繰り返さないための提言
第6章 日本版フェアユース導入によりイノベーションを創出する
第7章 日本版フェアユース導入により文化GDP倍増を目指す
巻末特別インタビュー
著者等紹介
城所岩生[キドコロイワオ]
国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)客員教授、米国弁護士(ニューヨーク州、首都ワシントン)。東京大学法学部卒業、ニューヨーク大学修士号取得(経営学・法学)。NTTアメリカ上席副社長、成蹊大学法学部教授を経て、2009年より現職。2016年までは成蹊大学法科大学院非常勤講師も兼務。2015年夏、サンタクララ大ロースクール客員研究員。著作権法に精通した国際IT弁護士として活躍。著書:『米国通信戦争』日刊工業新聞社(第12回テレコム社会科学賞奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みき
51
これは面白い。Winnyはユーザー側からするとおそらく流行ったソフトウェアの一つくらいの認識だっただろうが本書にあるような革新的なものだったらしい。本書はWinnyを中心に日本の著作権法の悪い部分や外国との違いについて考察されている。気付けばYouTubeなど外国の技術やサービスを毎日利用しているがそうではない未来があったかもしれないと考えると残念でならない。もしかしたらWinny事件が抑止力として他の本来の意味の知的な財産もなくなってしまっているのではいかと心配にならざるを得なかった。2023/09/15
忽那惟次郎8世
8
映画「Winny」も観た 今年、2023年の映画だと言う 秀逸な映画作品だと思った。 もしWinnyと金子勇氏がこんなひどい免罪事件に巻き込まれず ソフトもエンハンスし、ビジネスモデルも確立しておれば 今頃日本においてGAFAMを凌駕するDX産業が生まれていたに違いない。2006年 安倍官房長官(当時)が国民にWinnyの利用自粛を要請した 私も記憶がある 多くの企業、IT業界でさえ この優れたテクノロジーを殺してしまった。 日本社会ってダメだね。このタイトルの通り まさしく国破れて著作権法あり。2023/12/23
44KW
2
図書館でタイトルを見て、興味をそそられて借りてきて読んだ本。法整備の話も多く、少し難しい内容だったが、事例を元にした話の展開で興味深く読むことができた。日本がイノベーションを生み出せない現実の一端が、法律や制度にある、というのは悲しい事実だと感じた。今後、日本が新たなサービスやイノベーションを起こせる様な国になることを願いたい。2024/12/31
Nul1z
2
Winny事件が明るみに出た時自分はまだ大学生でした。そのころからちょっとずつ法律に興味持ったりして調べたりはしてたけど背景にあることや、日本とそれ以外の国の法律とかの理解が全然追いつかなくて事の成り行きだけを見てましたが、この本を読んで時代の流れや世論で法律が変わっていくのかなーとは読んでて思いました。最近、また個人的にドラマを見たり著作権法など、知的財産権に興味を持ってるのでまた読む機会があれば読みたいです。2023/07/09
nobuharuobinata
1
P2P技術が著作権侵害の幇助罪に問われたWinny事件(最高裁で無罪確定)がわが国の文化産業にもたらした負の影響について述べている。サブテーマとして警察・検察の取り調べ批判も。わが国の著作権法にもフェア・ユースの導入を提唱している。2023/11/08