目次
序章 私たちは何をしてきたのか
第1章 感染症の蔓延とワクチンの投入
第2章 軽々しく信じることの罪
第3章 専門家は信用できるのか
第4章 デマと正しい情報
第5章 独裁化するリベラル
第6章 生権力の暴走
第7章 システムへの抵抗
第8章 100分の1の倫理
終章 私たちはどこへ行こうとしているのか
著者等紹介
國部克彦[コクブカツヒコ]
神戸大学大学院経営学研究科教授。博士(経営学)。専門は、社会環境会計、経営倫理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゃれら
24
極めて重要な書物だ。新型コロナウイルス対応ワクチンをめぐり日本で、世界で起きたことについての哲学的な考察であり、ワクチンの医学的、科学的な有効性や安全性などの評価は全くしない。推進する政府やその応援団の言説がいかに欺瞞に満ちているかを分かりやすい言葉と論理で説く。ウィトゲンシュタイン、フーコー、デリダ、ポパー、ヒューム、カントなどの引用で論証を進める中で強く印象に残るのはクリフォード(初めて知った)とハンナ・アーレント。無批判、無考察なワクチン接種は「凡庸な悪」につながるとの考察は一読に値すると考える。2023/01/29
spatz
14
著者も何度となく念を押しているのだが、「コロナワクチンの是非」を議論するものではない。世に出回るたくさんの関係本はどうしようもなくソレなので、それと一緒にしてはならない。 コロナワクチンのPro/Kontraを取り扱わないでレベルでワクチンについて論ずる、という試みは、つまり、我々の思考そのものについての論考であり、大きく言えば、コロナワクチンは、その一つの例に過ぎないということ。 いくつかの哲学者や思想家の研究を挙げながら、考えること、信じること、行動すること、について述べる。 2023/06/09
snow
3
ずっと言葉にできないもやもやと感じていたものがすっきりしました。2023/01/26
エツロー
0
リベラル=自由を保証するために規律を求める、保守=自由を尊重して規律は最小限に留める、という対比が興味深かった。日本はこのような判断基準としての価値観がないため、他者がどうするかを見るしかなく、また、経済原理に流されやすいのだ。また、近代社会では、人間を内面から規律づける「規律的権力」に加え、人間の健康や延命に依拠する「生権力」が拡張し、システム化されてしまっている。これに抵抗するのは簡単ではない。軽々しく信じず徹底的に調べ(信念の倫理)、生命の重みを感じる(100分の1の倫理)ような倫理が求められるのだ2023/04/13