内容説明
「教育を受ける権利」は「教育勅語」下の時代、臣民の「教育を受ける義務」に対抗して『労働世界』で主張されたのが始まりだった。ところが、国民平等の「日本国憲法」にも規定されている国民が「教育を受ける」ということは教育する別格の人の存在を前提としている矛盾がある。「教育を受ける権利」が誕生し、信奉されてきた背景を明らかにし、また、派生している問題を紐解く。
目次
第1編 「教育を受ける権利」の誕生(「教育」は明治政府の官製語だった;福沢諭吉は「発育」であるべきと主張した;ヘボンは「教育」を“education”としていなかった;片山潜が「教育を受ける権利」を言い出した)
第2編 「教育を受ける権利」の信奉(GHQが参照した「憲法草案要綱」には「教育」が無かった;マッカーサー草案には「教育を受ける権利」は無かった;佐々木惣一は「教育を受けるのは権利か」と質問した;「世界人権宣言」は「教育を受ける権利」ではない;「教育権」等の言葉の創作で混乱させている;マルクス言説が創作され、批判されていない)
第3編 派生している問題(個性が無視され横並び人間観が醸成されている;「普通教育」が信奉されている;職業・労働を忌避する教育観が醸成されている)
著者等紹介
田中萬年[タナカカズトシ]
1943年、旧満州国大連市生まれ。職業訓練大学校卒業、博士(学術)。職業能力開発総合大学校名誉教授。2016~19年日本産業教育学会(現日本職業教育学会)会長を担当。エルゴナジーを提唱(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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