内容説明
26年前に刊行され、ベストセラーとなった『裂けた岬』、待望の改訂版。第二次世界大戦中に徴兵され、徴用船の船長として物資の輸送任務に就いていた黒岩亀吉(仮名)は知床半島沖を航行中に嵐に合い、真冬の知床の小屋に部下のシゲとともに取り残される。飢えと寒さの極限状態の中、先に餓死したシゲの遺体を船長は口にする。シゲの肉で体力を回復した船長は、流氷の上を渡り、知床を脱出した。新聞記者であった著者が30年間におよぶインタビューを経て書き上げた、人間の業を問い掛けるノンフィクション。
目次
プロローグ
約束
戦雲
遭難
番屋
食人
煙り
生存
発覚
裁判
訃報
エピローグ
著者等紹介
合田一道[ゴウダイチドウ]
1934年(昭和9年)、北海道空知郡上砂川町生まれ。北海道新聞社に入社し、事件を担当。在職中からノンフィクション作品を発表。退職後は札幌大学、北星学園大学講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ウミノアメ
3
昭和18年に、真冬の知床半島で遭難した、軍属船の船長が飢えに耐えかねて死んだ同僚を食べてしまう。 著者は、その船長に15年に渡り取材し、その肉声を書き綴ったもので、内容は衝撃的。 当時の船長は、人肉を、とてもおいしかった、と表現する。 平成元年に死去した船長は、懲役1年の刑を受けている が、死ぬまで罪の意識に苛まれ生涯を終える。 人が生きていくということの、罪深さのような凄まじさが溢れ出る。 時代が生んだ悲惨な事件の第一級の資料である。2023/09/03
jouta h.
2
深い、深すぎる 老船長に合掌2021/01/19