内容説明
朴正煕政権時代の1969年、地方の小さな町で祖母と年頃の叔母、間借人らと暮らす12歳の少女ジニは、不幸な生いたちから幼くして人生を悟るようになってしまう。大人の心を見抜く彼女は、「見る私」と「見せる私」に自分を分離し演じ分け、身近な人たちの人生の“秘密”をひとり冷めた目で観察していく。一体ジニは、大人たちのどんな“生”を見たのか?なぜ彼女は12歳で成長することを止めたのか?本作品は30代半ばを過ぎたジニが語り手「私」として、当時を回想する小説である。現代韓国文学をリードする作家の代表作。
著者等紹介
ウンヒギョン[ウンヒギョン]
殷煕耕。1959年、全羅北道高廠郡生まれ。淑明女子大学国文科、延世大学大学院国文科を卒業後、1995年に『鳥のおくりもの』で第1回文学トンネ小説賞を受賞する。以降、次々と話題作を発表し李箱文学賞、東仁文学賞など、数々の文学賞を受賞。韓国における現代作家の第一人者として位置づけられている
橋本智保[ハシモトチホ]
1972年生。東京外国語大学朝鮮学科を経て、ソウル大学国語国文科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケニオミ
7
12歳のませた女の子が、彼女の周りの人たちを操っている様子を描いた小説でしょうか。心揺り動かされるような内容でないので、途中で読むのをあきらめました。この他にもっと読むべき本があると思って。2020/03/13
グルラビ
2
12歳のジニの鋭い目から語られる家族、隣人、恋。60年代の韓国の片田舎の日々が感性豊かに表現されてリアルな生活感が伝わってくる。切なく純粋でまさに文学だった。大人になったジニの暮らしについても読みたい。本国では95年の話題作だったそうだが、日本で翻訳が出版されたのは2019年11月。韓国文学をもっと読んでみたくなったけど翻訳されているものはとても少ないらしい。筋とは関係ないが「天下一の力持ちでも自分のまぶたは持ち上げられない」という祖母の言葉がツボでした。2020/01/13
りえぞう
1
◎。韓国女流作家による作品。普通ではない境遇におかれた少女の、周辺からは浮き上がるほどの成熟して冷めた目で見つめた人々の暮らし。韓国ってそういうの上手だから、映画にしてほしいなあ。ちょっと長いけど、60年代の韓国庶民の暮らしが垣間見えて面白かった。2020/05/09
Sachiko
0
韓国の民主化前の話。12歳の少女の目を通して、周囲の大人たちの様子を描いている。鋭い観察眼でおもしろかった。2020/09/24
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