内容説明
時は文久二年。旅籠「つばくろ屋」の跡取りとして生まれた高弥は、生家を出て力試しをしたいと考えていた。母である佐久の後押しもあり、伝手を頼りに東海道品川宿の旅籠で修業を積むことになったのだが、道中、請状を失くし、道にも迷ってしまう。そしてどうにか辿り着いた修業先の「あやめ屋」は、薄汚れた活気のない宿で―美味しい料理と真心尽くしのもてなしが、人の心を変えていく。さびれたお宿の立て直し奮闘記。
著者等紹介
五十鈴りく[イスズリク]
2017年、『中山道板橋宿つばくろ屋』でアルファポリス第3回歴史・時代小説大賞大賞を受賞。2018年、同作にて出版デビューに至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
106
東海道品川宿 あやめ屋 2019.07発行。字の大きさは…中。板橋宿の旅籠つばくろ屋の跡取り高弥が、1年間他人の旅籠で修業をする物語です。高弥は、間違って品川宿の「あやめ屋」で奉公する事となります。この旅籠は、つばくろ屋と反対で客が寛げる様に旅籠の者が動くのでなく、自分たちがやりたい様にやっている旅籠です。そんな中で、高弥のお客様が喜んでくださるように…と、いう思いが…。高弥は、与える喜びを感じる人になるには、如何したらいいかを懸命に考え、実践して行くのを見ていて、喜びを感じます。読後感は、爽やかです。2020/09/27
タイ子
75
前作「つばくろ屋」の続編。あれから20年近く経ったつばくろ屋にも変化が。今作はつばくろ屋の跡取息子16歳になる高弥が主人公。実家を出て修行したいと願い出れば、品川宿の旅籠を紹介され向かうことになる。道中、気付けば修行先の紹介状を失くしてしまい、「菖蒲屋」に行く所を「あやめ屋」に行った所から高弥の思惑が大きく外れていく。掃除、料理、もてなし、どれも最低のあやめ屋。口答えすれば殴る、蹴られる、高弥の修行は辛すぎる。いろんな事情の末、高弥が出した答えの先に待っているものとは。前作は愛と涙、今作は根性の作品。2023/07/16
真理そら
44
つばくろ屋の跡取り息子・高弥は世間のあらなみにもまれて修業するつもりで品川に行き、手違いで「あやめ屋」で働くことになる。このあやめ屋がなかなかてごわい旅籠だった。途中でたぶん高杉晋作とすれ違ったりしながら1年間頑張る。いやだいやだと思っていたあやめ屋なのに離れがたい気持ちになっていく過程をもう少しじっくり読みたかった気がしないでもない。2019/10/14
むつこ
29
つばくろ屋を読んでいませんがシリーズ2作目の様子。旅籠の跡取り息子が修行に出るが紹介状をなくしてしまいうろ覚えからたどり着いた店で働き始めるお話。主人公・高弥のまっすぐな素直さがいい。文字が大きめで読みやすかった。2020/02/20
ドナルド@灯れ松明の火
23
前作板橋宿つばくろ屋に続く続編だが、最初から修行先を間違え、嫌な展開。まぁこういうプロットもありだな。なかなか上手いエンディングだった。次作も待たれる。 お薦め2019/09/07