内容説明
人間性心理学の源流に位置するマズロー心理学とは何か?著名な欲求階層論から自己実現、さらに至高経験と自己超越からユーサイキアン・マネジメントまでをマズローの生涯に沿って解説する。
目次
第1章 アブラハム・マズローの人と思想
第2章 欲求の階層
第3章 自己実現
第4章 至高経験と自己超越
第5章 ユーサイキアン・マネジメント
第6章 ユーサイキアは実現できるのか
著者等紹介
中野明[ナカノアキラ]
1962年、滋賀県生まれ。立命館大学文学部哲学科卒業。ノンフィクション作家。同志社大学理工学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Carlyuke
32
自己実現, 至高経験, ユーキサイア。「菊と刀」のルース・ベネディクトや「素晴らしき新世界」のオルダス・ハクスレーなど自己実現者としてマズローが具体的に例として挙げられているのが分かりやすい。偶然なのだがこの本をはじめ, 最近読む多くの本にハクスレーや「素晴らしき新世界」のことが言及されている。読んだ方が良いということだろう。シナジーという概念の最初の提唱者がベネディクトだとのこと。また至高経験は追い求めても得られず, 目標に向かって努力するうちに突然向こうからやってくるものであると言う。2018/10/16
Kentaro
31
利己主義と利他主義という二分法を越えた状態、これがシナジーの本来の意味だ。事業や経営資源の適切な結合で生じる相乗効果とは、かなり意味が異なる。そして、高いシナジー度を備えた社会、これがマズローの言うユーサイキアである。心理学的に健康で、成熟した、あるいは、自己実現する人びととその家族のみから構成されている世の中が自己実現者ばかりで、その際に実現するであろう理想の文化や社会、それがユーサイキアであり、それを会社経営に応用してユーサイキアマネジメントを実現すること。現代におけるCSVに近い概念だと感じた。2019/10/12
Shin
15
Prime Reading本。マズローはもちろん心理学者なのだけれど、マネジメント関連の研修を受けたことのある人間には「欲求の5段階説」の提唱者としてあまりにも有名。ただ、その表層的な理解だけでは非常にもったいない奥行きを持つ。何よりも人間の可能性に対する暖かく凛とした信頼を持ち続けた思想家として、もっと注目されても良いのではないかと思う。人間をポジティブな動機を持つ存在として捉え、互いの自己実現を通じて理想社会がもたらされるというコンセプトは甘いと言われるかも知れないが現代における福音たりうる。2020/02/11
プランクマン
12
いろいろな本に登場するので気になってた。マズロー他、同世代に活躍した人の心理学に対する考え方の違いがよくわかる(気がする)。有名どころの欲求階層説や、X・Y理論など割と細かく説明してくるので私のような初心者でも読める。心理学に興味があるけど、何から始めれば…という方によいかも。1番印象に残った言葉「進化とは、選択すること、すなわち、選んで決めることを意味し、このことは、価値づけを意味している」2020/03/04
プランクマン
9
自己実現の段階において、超越できる人とできない人がいる。できる人はB価値を追求するが、できない人は承認の欲求が満たされることで満足している…?能力はなくても部下を無情に使い、自身の成果として上司へアピールして昇進する人とか、これに当てはまるのかしら。私ももちろん承認はしてもらいたいけど、実力にともなった自然な能力として認められたいなと。日本は解雇や役職を下げることのハードルが高い(結果上がったもん勝ち)と思うので、私の考えは遠回りだと思うが、変えないようにしたい。2020/03/05