内容説明
人が人とかかわりあうときに最も大切なこと。いま、人がたがいに支えあい、ともに生きられる人間らしい生活やかかわりあいは、どうすれば可能なのか。保育や教育、青少年支援の場で必要な「ケア」の課題や考え方を、「社会をつくる・ひらく」という視点から鋭く提起した待望の書き下ろし。
目次
1 はじめに
2 がんばらない人間は生きる資格がない?―努力・能力・自尊心を考える
3 他者とうまくすれちがえる技をみがく
4 ケア的かかわりの広がりと養育・教育の位置
5 子どもの生きる場をとらえ直す
6 つたえる・解決する・見守る
7 普通でいられる「社会」をつくる
8 人がたがいに出会える「場」の秘密
9 ケア的かかわりの場に不可欠な民主主義
著者等紹介
中西新太郎[ナカニシシンタロウ]
1948年生まれ。鹿児島大学教育学部勤務を経て、1990~2014年、横浜市立大学勤務。現在、横浜市立大学名誉教授。現代日本社会論・文化社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
21
人が人とかかわることで大切なことを、ケアとは何かを通して考えていく、とても考えさせられた本でした。人間らしく生きることは他者とともに生き、社会を形づくることを意味します。それは、アートを意味しそれが社会人になることです。そして、一人では生活を完結できないため必ずケアという関わり方が存在しています。生きにくい社会だからこそ、存在そのものを認めてくれる他者が必要なのだと思いました。また、安心距離を保障する民主主義の重要性を指摘します。それはコミットする関係を想定したうえでの安心距離です。おすすめです。2015/09/08
Takao
3
2015年8月10日発行。敬愛する中西先生の新著。東京新聞の紹介記事で知った。人は一人では生きていけないのは当たり前のこと。だが、自己責任が強調され、人に頼ることは弱くダメなしるしという風潮のなか、大人も子どもも肩肘張って生きている。「ケア」というのは、特別なこと、特別に支援を必要としている人たちだけに向けられるものではなく、今生きている全ての人たちが必要としているもの。「人が人のなかで生きていくこと」とはいったいどういうことなのか、一人の大人として考えさせられた。著者の弱者への目がとても暖かい。2015/12/19
Takao
2
2015年8月10日発行(初版)。2016年3月31日以来の再々読。著者の中西新太郎先生には11月4日に講演をお願いした。またしても講演前に読み終えることはできなかったが、改めて人が人として生きてゆけるためには社会を変える必要があると感じた。2018/11/18
Takao
2
昨年12月19日以来の再読。この3月末におこなった「神奈川高生研・春のゼミナール」で記念講演を引き受けてくれたのが、著者の中西新太郎先生。この本で述べられていることを中心に2時間、濃密な講演であった。本にサインもしていただいた。講演までに再読を、と読み進めていたが、終了してから読み終えた。前回の感想以上に付け加えるのは難しいが、人が人のなかで普通に生きていけるようになるには、やはり社会を変える必要があるということを強く感じた。2回読み終えたが、これからも手元に置いて読み返したい。若い教員にも薦めたい本だ。2016/03/31
aokuro
1
「スーパー養育者・教育者でなくてよい」という一節のおかげで、とても気が楽になった。 欠点や弱さがあるからこそ、多様な関わり方の可能性が広がる。子どもと付き合うのが苦手、口下手、作業が遅く同僚とテンポが合わない、新人…etc.普通は欠点と見なされてしまうところを、多様な関わり方を実現するための資源と考える。 このへんの考え方を、今後の仕事に役立てていきたい。2016/01/30