内容説明
椅子ひとつ分の“安住の地”を求め、テヘランからパリ、ロンドン、カナダへと向かうマヒーン夫人。革命と戦禍を逃れひとり彷徨う老夫人の孤独に寄り添う表題作。ふとしたことから染み取りに夢中になったレイラー。身近な人との微妙な心のズレにも気付かず人生の染みを滲ませていく「染み」など、全7編。1979年の革命、8年間に及ぶイラクとの戦争、王制からイスラーム共和制へ…激動の波に翻弄される女性たちの悩み、願い、喜びは?―“知られざる国”イランの女性たちの生の諸相を、イラン、フランス、アメリカなど異なる活動拠点で創作を続けるイランを代表する女性作家7人が鮮烈に描くアンソロジー。
著者等紹介
藤元優子[フジモトユウコ]
1957年大阪市生まれ。大阪外国語大学大学院修士課程修了。イラン留学中、革命に遭遇、現代文学研究を始める。現在、大阪大学言語文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
36
女性はこうあるべきー21世紀になっても、女性はいまだにステレオタイプや慣習と戦い続けています。それは文化は違っているかもしれないけれどイランの女性たちも変わりありません。いえ、もっと大変かもしれない。宗教、児童婚、治安、差別、民族間紛争…。この短編集は様々な光を放ち、爽やかなものからただただ悲しいものまでありますが、どれを読んでも感じたことは、教育こそが女性を真に輝かせるということでしょうか。培った知識は、決して奪われることはないもの…。2020/10/29
とよぽん
24
現代イランを代表する女性作家7人の短編作品が収録されている。ペルシヤ語から日本語への翻訳は、まだ数少ないそうである。それにしても、作品の内容は国外移住、離婚、児童婚、貧富の差、戦争、病気、親族の死など暗い境遇の話が多かった。ユーモアの効いた「見渡す限り」という作品が一番面白かった。イランは変化に富んだ大自然と悠久の歴史、そして高い文化を誇る中東の魅力的な大国、と訳者の藤元優子先生。アジアの女性作家シリーズにイランが加えられたことを「あとがき」で心から喜んでいらっしゃる。2019/10/03
Porco
13
「訳者あとがき」によると、今はイランにも女性作家は多いそうです。本書に収録されているのは純文学ですが、エンタメ小説もあるのだろうか?2020/01/29
Inzaghico (Etsuko Oshita)
4
1979年のイラン革命以降の作品を7編収録している。作者は海外在住の者、イラン国内にいる者と分かれているが、あとがきにあるように、全員が出版許可が出ない作品がある、というのは、やはりイランならでは、だ。だが、彼女たちはみなへこたれない。意外と女性が離婚する話が多いのに驚いた。厳しい体制の下、女性はたくましく生きている。2018/09/05
きのみ
4
革命前後に発表されたイラン小説は、どこかしら何時も暗い。ペルシャ語をやっているから、内容よりも翻訳に目がいってしまった。原文に限りなく近づけ、かつこんなに美しい日本語に表現することは、なかなかできない。2014/09/03
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