内容説明
拾った携帯電話のデータフォルダには、友人の死体映像が残されていた(『クラスメイト』)。ふとしたひょうしで部屋の壁に穴があいた。その穴は殺人鬼の部屋とつながっており―(『穴』)。目を覚ますと、全裸で真っ白な部屋に閉じ込められていた女子高生。脱出する方法はあるのか(『全裸部屋』)。携帯ホラーの天才作家!待望の文庫化。
著者等紹介
二宮敦人[ニノミヤアツト]
1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。WEB上でも小説を展開中。モバイルコンテンツのプロデュース業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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徒花
136
うーん、まあまあ。もっとオカルト的なホラー小説なのかと思ったけれど、どちらかというとサイコサスペンス色が強い3作品が収録されている。持っているのがスマホではなくガラケーであるところに時代を感じる。ちなみに、「!」という作品名のものは収録されていない。『クラスメイト』はいちばんありがち、『穴』はまあまあだけど、ちょい粗が目立つ。『全裸部屋』は個人的にいちばん好き。ただ全体的にちょっと作品のテーマについて説明がすぎる部分があるかもしれない。そこがいいのかもしれないけど。2020/09/14
かみぶくろ
97
中編ホラー三編。内容は完全にB級ホラー映画(しかも邦画)のそれなので、つまり一定の需要があり、たまに自分も読みたくなる類の本。最後の「全裸部屋」だけ趣向が違い、狭くなり続ける部屋でひたすら置かれた状況と死について考察する内容だが、自分の言葉による自己暗示が生理的恐怖や苦痛を上回るって、さすがにそんなことはないだろうと激しくツッコミたくなった。でも不条理感は嫌いじゃないです。2019/08/25
セウテス
85
作者デビュー作品のホラーミステリ。「クラスメイト」僕ケイタは高校への通学途中で、携帯電話を拾う。それには、クラスメイトが斧にてミンチの様に切り潰され、胸と胴が離れて死んでいる姿が記録されていた。本作はリアルな恐怖と、意外な犯人で楽しめる。現代において、携帯電話がサイコの連鎖を生むという表現にはピンと来ないが。「穴」偶然空けた穴の先は、殺人鬼が住む部屋だった。「全裸部屋」何故自分が死ぬのか、理由が解らないまま時間が過ぎる恐怖。3作とも、納得出来る人物像が居なくて、行動内容も否定的になる事が残念に感じる。2019/10/05
ままこ
60
表紙を近くでみたらゾワっとする。意外性と狂気と理不尽さに満ちた3編のイヤホラー。拾った携帯のデータフォルダを開けてみると…。うわっ〜狂ってる。連鎖するグロミスホラー「クラスメイト」、とあることがきっかけで始まった殺人鬼との交流。痛々しい理不尽ホラー「穴」、1番印象に残ったのはシュール過ぎる「全裸部屋」究極の状態なのにどこか冷静さのある不条理ホラー。途中も怖っ!ラストも怖っ!2025/01/06
mr.lupin
56
ずっと手元に積んであった本を読了。三篇からなるホラー小説だった。「クラスメイト」は有りがちな設定の中で最後は意外な犯人だった。「穴」は三作品の中では一番良かったかな。「全裸部屋」は、何がどうなってその部屋にいるのか、そこがわからず全く意味がわからなかった。まぁ、全体的に細かい部分を無視して読めばそれなにり楽しめた一冊だった。☆☆☆★★2020/07/24