内容説明
競技場に足繁く通う客の中には、一攫千金の夢を追ってやってくる欲深いギャンブラーたちがいる。彼らの夢は、競技場を出れば醒める夢だが、その迷宮の中のつかの間の夢を掠め取ろうとする詐話師もやって来ている。詐話師とは、彼らの符丁でチョウコウと言われる、目星をつけたターゲットの心理と間合いを読みとって、淡い夢を見させた揚げ句、元手や配当金をソックリ捲上げることを生業にしている者たちのことを言う。甲斐輝雄もその一人である。彼の天才的な詐話師ぶりに魅せられた、若い伊達と元銀行員の工藤らは、甲斐をその風貌から“教授”と呼んでいる。三人は、競技場を巡る全国行脚から、大ヤマに挑む…。