内容説明
12年前の世界にタイムスリップした聖時。現代とは比較にならないほど活気に満ちた商店街を、まだやんちゃだった兄と駆け回る日々。写真でしか知らなかった祖父の昔語りに耳を傾け、夢にまで見た母親と共に囲む、あたたかな家族の食卓。お母さんの大きなお腹の中にいるのは、もうすぐ生まれてくる自分のはず。やがて運命の日、聖時の誕生日がやってきて…。ラスト、涙が止まらない!やさしく心あたたまる冬の感動ファンタジー、完結編。
著者等紹介
川口雅幸[カワグチマサユキ]
1971年、岩手県生まれ。地元にて3代続く時計店「時光堂」の店長。2004年、インターネット上で『虹色ほたる―永遠の夏休み』の連載を開始。大きな反響を呼び、2007年にアルファポリスから同作を出版(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
105
★★★☆☆ 母をなくした小学生の男子が主人公。家族構成は時計屋を営む父と兄。些細なことで兄と喧嘩をしてしまった主人公は、ひょんなことから亡くなった母がいる頃の時代にタイムスリップ〜みたいな話。児童書ですが涙ありです。これ読んだら思い出しました。刑泥(けいどろ)って小学生の頃よくやりましたよね。自分らは校舎内でやってたんで、ひとたび隠れたら広すぎて休み時間内に探しきれるもんじゃありませんよ。結局、泥棒チームは休み時間終了のチャイムが鳴るまでただただじーっとどこかに潜んで動かない。何が面白くてやってたのか。2016/06/05
あつひめ
81
川口さん初読みでしたが…しっとりとした物語だった。生まれてくる前の時間は当たり前だけど知らないわけで…。でも…時間は動いている。お兄ちゃんが鬼ちゃんとなったわけ…改めて胸に刺さったことだろう。会いたかった人は、いつでもそばにいる。こと年になっても一人で生きているつもりでいるが、本当は違うと教えられた気分だ。私の中に流れる血は私が作ったんじゃない。私が会いたくて会えなかった人の血が混ざって出来上がったものなんだよね。一段ずつ心が大人になっていく…心が綿のような子供たちにも読んでほしい。点訳したい1冊。2013/09/21
Willie the Wildcat
70
流れが分かっちゃいても、グッとくる。最後の母との会話の場面はもちろんだが、その直前の祖父の最後の言葉が何とも印象的。深い深い愛情が、言動に滲んでる。見える景色も異なる現代。祖父と母との交流を踏まえた、父と兄への想い。言葉にすることだけが全てではなく、言葉にできないことがあるのが人生。”天女”の言葉の意味を、より噛みしめることができる。懐中時計が”つないだ”心も永遠也。もう聖時に鍵は不要!出来過ぎ?気にしない気にしない。2021/08/11
へくとぱすかる
58
伏線が、最後までにきちんと回収されます。彼の心には明らかな変化があったでしょう。これから成長する彼にとっては、やはり一度は体験しておきたかった(そして今までは欠けていた)家族愛。タイムスリップの手段としては、こんな方法もあるのだな、と。道具立てにもおもしろいものがあります。周囲が、今までの状況を変えていこうという雰囲気に包まれているのは、できすぎという感もあるけれど、やはりハッピーエンドはいいものですね。2014/10/22
hirune
48
自分の生まれる直前までの過去にタイムスリップして、知らなかったこと 知らなかった人々や事情を知っていくうちに、直面しなければならない余りに切なく悲しい事実に思わず泣きそうになりましたよ(/ _ ; )温かく優しい人に囲まれて、聖時もまた素敵な大人になっていくんだろうな。。腕が良くて ジャニーズ系の若いイケメンのいる時計店…未来は明るいかもね?という結末がよかったです☆2019/06/06