内容説明
田中小実昌は愛されて理解されない作家だった。その巨大な才能と残された可能性を、深い哀惜の念を以て論じる。十九歳の戦争体験が決定した、生涯を縛る「行軍体験」から表現者小実昌を語る書き下ろし。
目次
1 ふと存在する傑作―『鮟鱇の足』を読む
2 戦争体験―宿命になった行軍兵士
3 万物は流転する―行軍兵とスラプスティック
4 「女」依存症―あるいはすべて女性は神様である
5 戦後に帰る―試みられた日常
6 持ち越された行軍―幻想の戦後に対峙する
7 バス旅―形を変えた行軍
8 信仰―実存的宗教とは
著者等紹介
岡庭昇[オカニワノボル]
1942年生。慶応義塾大学経済学部卒業。社会評論家で、文芸評論家でもある。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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