内容説明
頭上から子守唄がきこえてくる…。夜ごと花札をもちながら、老いた父と“私”は、古いよれよれになった台本で、父娘劇を演じ続けている。―濃密な文体から独特の雰囲気ただようオ・ジョンヒの短編世界。韓国最高の文学賞“イ・サン文学賞”受賞作。表題作のほかに、中編「あの丘」を収録。
著者等紹介
オジョンヒ[オジョンヒ]
呉貞姫。1947年ソウル生まれ。ソラボル芸術大学文芸創作科卒業。大学在学中の1968年「中央日報」紙の新春文芸で「玩具店の女」が当選し登壇、現在までたゆみなく創作を続けている。童話や随筆集の著作もある。1979年「夜のゲーム」で李箱文学賞、1982年「銅鏡」で東仁文学賞と、韓国の二大文学賞を受賞。海外で紹介されている作品も多く、2003年にはドイツ語に翻訳された長編『鳥』がフランクフルトの文学賞を受けた
波田野節子[ハタノセツコ]
1950年新潟市生まれ。青山学院大学文学部卒業。現在、新潟県立大学国際地域学部教授。NHKラジオ「まいにちハングル講座」講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kibita
14
短編「夜のゲーム」中編「あの丘」二篇。両方共娘と父について。「夜のゲーム」時代背景も書かれたのも70年代らしい。映画になったようだが、あらすじを見たらエロス映画とのこと。何でこの原作が?寂寥と閉塞感が漂い、何とも言えない余韻が残る。しかし「あの丘」のラストはとても良い。彼女にとってろくでもない父親であったが、いつか、ほんの少しだけ理解出来ればいい。2023/03/09
ハッカ飴
1
「夜のゲーム」と「あの丘」の2編から成っているが、有名な文学賞を受賞した「夜のゲーム」より「あの丘」のほうが私には感動的だった。朝鮮戦争で「生と死を同時に見つめた」お父さんは人間的に希望や願いをもつことができなかった。まわりのものはそれを理解することはできない。戦争は体を傷つけるだけではなく、人間の一番たいせつなものを奪うものなのだなと改めて思った。最後のページはほんとうにせつなく涙が出た。2010/08/22
takaha001
0
タイトルと表紙が気になって読んでみた 夜のゲームは独特の停滞感があり話の雰囲気は良かったがイマイチ掴みどころがない印象 あまり意味を求めない作品が好きなら読んでもいいと思うがそうでなければおすすめはしない2024/07/25
endlessdiscover
0
「夜のゲーム」韓国は日本よりも花札が盛ん。父と娘のゲームは花札なのか、それとも娘の密会なのか。短編だけど伏線、暗示が多くよく分からない。物語としては「あの丘」のほうが好み。こちらも閉塞感。韓国だけではなく普遍性のある作品だと思う。2024/05/02
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