出版社内容情報
短いお話をもっとたくさん語りたい・・・・・・という読者の声にこたえて、世界各国から集めたショート・ストーリー48編。『三分間で語れるお話』に続く、短いお話コレクション第2弾。さあ、読んであげて、語ってあげて!子どもたちに。
第1章 参加型のお話
・雨にふられたおサルさん――ブラジルの民話(3分)・・・・・・・11
・クマのぼうやが とことこ行くよ―教師が語ってきた話(5分)・・・16
・クマ狩りに行こう――アメリカの伝承(5分)・・・・・・・・23
・くらーいくーらい家――アメリカの民話(1分)・・・・・・・・27
・ミルクつぼの中の二匹のカエル――ロシアの寓話(3分)・・・・29
・カエル王子 ――ラオスの民話(5分)・・32
第2章 動物たちのお話
・袋をぬすんだコヨーテ――北米インディアンの民話(3分30秒)・・・40
・コオロギとジャガーの戦い――メキシコ・マヤ族の民話(4分)・・・45
・人間が一晩だけ眠るわけ―北米インディアンの民話(1分30秒) ・・・50
・動物たちのクリスマス その1・創作(1分30秒)・・・・・・・53
・動物たちのクリスマス その2・メキシコの伝承より(45秒)・・57
・動物たちのクリスマス その3・ラテンアメリカの伝承より(15秒)・・・59
・人間の年――ラオスの民話(4分30秒)・・・・・・・・60
第3章 起源を語るお話
・どうしてグルジア人は土地を得たか―グルジア共和国の民話(1分30秒)・・67
・ワインはグルジアから――グルジア共和国の民話(4分)・・・70
・ダグラスモミ(ベイマツ)のマツカサ――北アメリカ(1分40秒)・・・74
・月の上の鍛冶屋――ラオスの民話(5分)・・・・・・77
・ハヌマンがキノコを集めた話――ラオスの民話(4分)・・・82
第4章 とっても短いお話
・泳いでコッツビューへ――エスキモーの話(1分)・・・88
・歯が痛くなったら!――アッシリアの民話(1分45秒)・・・90
・みんなで向かえば怖いものなし――グルジア共和国の民話(1分)・・・93
・聖ペトロとイエスさま――バスクの民話(40秒)・・・95
・だらしのない奥さん――バスクの民話(1分20秒)・・・96
・ケンカの仕方――ラオスの民話(2分)・・・98
第5章 なぞときのお話
・小さな赤いお家――アメリカの話(4分)・・・103
・大男の召使――ラオスの話(4分)・・・108
・ガンは何羽?――ラトビアのなぞなぞ(45秒)・・・113
・盗まれたボート(45秒)――タイのなぞなぞ・・・115
第6章 愛がテーマのお話
・ニャンドゥティ・レースの起源――パラグアイの伝承(2分30秒)・・・118
・稲穂が奏でるフルートの音色―インドネシアの民話(2分45秒)・・・122
・王女 ピナング マサック―インドネシアの民話(5分)・・・126
第7章 奇妙なお話
・読書家と奇妙なお客――韓国の民話(4分)・・・133
・骨をかじる女の子――ザンビアの民話(2分30秒)・・・138
・驚くべき缶詰工場――北タイの民話(2分45秒)・・・142
・ウサギが教えた洪水-メキシコの民話(5分)・・・145
・魔法のカヌー――ブラジルの話(5分30秒)・・・151
・夜が生み出した者――ブラジルの話(5分)・・・159
第8章 うまくだましたお話
・バイオリン弾きと金――ジプシーの民話(5分30秒)・・・166
・世の中ってこんなもんさ――アメリカ南部の民話(2分30秒)・・・173
・ブダのイヌの市場――ハンガリーの民話(2分30秒)・・・178
・ハーシェルの父親がしたこと――ユダヤの民話(1分30秒)・・・182
・ネズミ経――日本の民話(5分)・・・185
第9章 考えさせられるお話
・みんなの村――創作(4分)・・・191
・お后とお百姓のおかみさん――インドの民話(5分)・・・195
・家族を守るヘビ――エジプトの民話(3分)・・・201
・ヒキガエル――アメリカの民話(5分30秒)・・・204
・切り紙をする女――中国の話(1分30秒)・・・210
・みんなで歌おう!――ウクライナの民話(5分)・・・213
『三分間で語れるお話』の出版の準備をしていた時、担当編集者のリズ・パークハーストが、何編かは載せるには少し長すぎると言いました。彼女が言うには、私なら(速達便のような語り方をするので)3分間で語れるだろうけれど、大抵の人は5分かかるわよ、とのことでした。
そして彼女は、何編かの長いお話を取り除き、それにもっとお話を加え、二冊目として『五分間で語れるお話』を刊行してほしいと言いました。確かに、私の語り口が早いので、この本に載せたお話の中には、7分かかるお話もあります! けれど、ほとんどのお話は、ほとんどの語り手にとって、5分前後で語れる話である、と思います。
この本に載せられたお話の中には、5分よりずっと短い話もあります。例えば“とっても短いお話”の章では、1分という短いお話もあります。 “なぞときのお話”や“参加型のお話”では、語り手がどれくらいの時間を、答える時間として聞き手に与えたいのか、あるいは、参加型のお話での繰り返しをどれくらい取り入れたいのかによって、好きなように長くしたり短くしたりすることができます。
私はここに載せた沢山のお話を、旅行をしながら友人たちから聞き集めました。グルジア共和国のスープラと呼ばれる宴会で、お客たちは私にグルジアのお話を浴びせるように語ってくれ、世界にグルジアの話を広めて欲しいと言いました。グルジアの人々はまた、ワインはこの美しい国で誕生したのだから、それ証明するため、私に「ワインはグルジアから」を語るようにと勧めました。ビルバオのアメリカン・インターナショナル・スクールで私のお世話をしてくれたバスクの人たちは、私に知ってもらいたいと、バスクのお話集を持ってきてくれました。マサコ・スエヨシは、日本で素敵なストーリーテリング・ツァーを企画してくれ、愛らしい「ネズミ経」を語ってくれました。また、私がフルブライトの研究者として、タイのマハーサラカムに滞在していた時に、私の面倒を見てくれたワフッパ・トッサが、タイとラオスの楽しいお話を次々に紹介してくれました。リオデジャネイロから来たリビア・ドゥ・アルメイダ、ジャカルタからのムルティ・ブナンタの二人は、彼女たちの国のお話集刊行を進めるため、私を助けてくれました。そして、それらのお話の中の何編かは、この本に幾分短めになって取り上げられ、その価値を発揮しています。「袋をぬすんだコヨーテ」は、ワイオミング州・カスパーの図書館員から教えてもらいました。「泳いでコッツビューへ」は、エスキモーの年配のご夫人、レーラ・キアナ・オマーンが、私が私の本『10人の伝統的な語り手』、Ten Traditional Tellers ( Bloomington: University of Illinois Press
2006)のため彼女へインタビューをしている時に、語ってくれました。そしてまたいくつかのお話、ナオミ・バルトックの「ハーシェルの父親がしたこと」や公園保護官から聞いた「ダグラスモミのマツかさ」のお話などは、私の住んでいるシアトルで聞いたものです。誰かを介して聞いたお話もあります。例えば中国で二年間教え帰国したばかりのジョンリー・ジョセフが、タイのマハーサラカムのワークショップで、彼女が中国で聞いた心打たれるお話を語ってくれました。そのお話も、この本に「切り紙をする女」として載っています。
このようにお話は何処からか現れ出てきて、少しずつ変化し、そして旅を続けます...お隣へかも知れないし世界に向かってかも知れません。この本を読んだ皆さんが、一番おもしろかったと思うお話を、語ることによって旅立たせてあげてください。 語り手から...語り手へと...語り継いでいってください。
マーガレット・リード・マクドナルド
<訳者あとがき>
この本は、アメリカの優れたストーリーテラー、マーガレット・リード・マクドナルドさんが出版された本の中から、私が翻訳させてもらう四冊目のものです。『語ってあげてよ! 子どもたちに―お話の語り方ガイドブック』、『明かりが消えたそのあとで―20の怖いお話』、『三分間で語れるお話―地球をぐるっと77編』に続く四冊目です。
マーガレットさんの本はどの本も、語るということや語るお話について、語り手である私自身に、沢山のことを教え刺激を与えてくれます。彼女の本を読むと、語り手としての想いが自在に広がっていって、もっともっと世界のいろいろなお話を、自分なりに語ってみたいと心が強く憧れます。
『語ってあげてよ! 子どもたちに―お話の語り方ガイドブック』で、マーガレットさんは、“なぜお話を語るの?”として、価値観を伝える、文学的な理解を深める、歴史を書きとめる、感情を豊かにする、想像力をはぐくむ、心を通わせると挙げ、「子どもとお話を分かち合うのに特別な技術は必要ありません。心をこめて語ることと語る時間さえあればよいのです」と、書いています。語り始めてかなりの年月が立つ私は、この言葉をいつも反芻させてもらっています。語る時に、心をこめてお話と聞き手と自分に向き合うなら、技術は自ずと身についてくるものです。そして何よりこの本から、“参加型のお話”の楽しさを教えてもらいました。
『明かりが消えたそのあとで―20の怖いお話』では、怖いお話の味わいの違いを感じさせてもらいました。怖いお話が大好きな私は、それから怖いお話を語る時には、そのお話の持つ怖さの味付けを私自身も味わいながら語るようになりました。
『三分間で語れるお話―地球をぐるっと77編』を通して知ったのは、もちろん短いお話の魅力です。この本のおかげで、短いお話のレパートリーがあると、お話会のプログラムを充実させたり、雰囲気を変えたりするのにどんなに便利かを、日々実践の中で実感させてもらっています。
そしてこの四冊目は、『三分間で語れるお話―地球をぐるっと77編』の続編です。みなさんの語りのプログラムに、あるいは本と本や、本とお話のつなぎに使える、短くて楽しい各国のお話が、さらに48編載っています。短くて語りやすいので、様々な国のお話を、無理なく子どもたちに届けることができます。「五分間で語れるお話」が基本的に選ばれていますが、マーガレットさんが「はじめに」で述べているように、ゆっくり語るともっと長い時間が必要で、お話会のプログラムの真ん中に使えるお話もあります。
短いからこそ、どこでも語ることができます。散歩の途中で、病院の待合室で、公園のベンチで、授業の空き時間等々で語ってみてください。また、短いので初心者にも気楽に語ってもらえるし、長く語ってきてその人なりの語り口を持っている人からは、完成度の高いお話の世界を聞かせてもらえることでしょう。
マーガレットさんは民間伝承学で博士号を取っていて、各国の類話について、各地を訪れ、長年実践的に学び調べてこられました。原書ではここに取り上げられたお話について、何時、何処の国や地方の誰によって語られ、さらにどのような語りの経緯を経て今に至ったか、あるいは各国の類話について、詳しく記されています。けれど、まずは語りのテキストとして、あるいは読んで楽しむ本としてみなさんにお届けしたいと、研究的な部分は幾分割愛させてもらったことをここにお断りしておきます。
「はじめに」でマーガレットさんが書かれた言葉を、最後に引用させてもらいます。「この本を読んだ皆さんが、一番おもしろかったと思うお話を、語ることによって旅立たせてあげてください。 語り手から...語り手へと...語り継いでいってください」
内容説明
短いお話をもっとたくさん語りたい…という読者の声にこたえて、世界各国から集めたショート・ストーリー48編。『三分間で語れるお話』に続く、短いお話コレクション第2弾。さあ、読んであげて、語ってあげて!子どもたちに。
目次
第1章 参加型のお話
第2章 動物たちのお話
第3章 起源を語るお話
第4章 とっても短いお話
第5章 なぞときのお話
第6章 愛がテーマのお話
第7章 奇妙なお話
第8章 うまくだましたお話
第9章 考えさせられるお話
著者等紹介
マクドナルド,マーガレット・リード[マクドナルド,マーガレットリード][MacDonald,Margaret Read]
1940年アメリカ生まれ。アメリカのインディアナ大学で民間伝承学の博士号を取得。優れたストーリーテラー(語り手)であり、また児童図書館員として長年公共図書館の現場で活躍してきた。アメリカはもちろん各国の子どもたちを、さまざまな手法のお話で楽しませている。さらに自国や各国のストーリーテリングの講座等で、語り手の育成にもあたっている
佐藤涼子[サトウリョウコ]
1947年北海道生まれ。北海道大学文学部および図書館短期大学別科卒業。公共図書館で長年児童サービスに携わる。全日本語りネットワーク運営委員長。児童図書館研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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