内容説明
女優にとってのもっとも有名なタイトルロールと言えば、椿姫。悲恋のヒロインとしてあまりにも有名な椿姫。その椿姫を、そのウエットさから抜け出させ、現代のハンサム・ガールとして蘇らせる。無愛想で不機嫌な美女―恋なんて信じない。命なんていらない。その女に恋をさせる。命が燃え尽きるのが早いか、恋が終わるのが早いのか。そしてマルグリットこと椿姫は、愛されたい、理解されたいという思いを振り切って、孤独であることを恐れずに、幕切れを目指して疾走する。椿姫ことマルグリットは、実は強い、カッコいい女なのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
39
図書館のフランス文学の棚にある手のひらサイズの薄いペーパーブック、笹部博司の戯曲シリーズでした。椿姫、オペラ、小説で読んで涙涙だった覚えがあるのですが、この戯曲では涙などありません。マルグリットが疾走するハンサム・ガールとして描かれています。愛を乞うことはせず、それでも愛を受け与え、そして振り切って自分の生涯を終えようとします。潔いその姿に涙など不要なのです。とはいえ、相手役のアルマンの説得力は弱いです、恋に落ちるきっかけ、マルグリットからの拒絶への対応、甘えん坊の苦労知らずといったところでしょうか。2024/11/12