内容説明
雪と氷におおわれた荒野の冬の嵐の中にぽつんと一軒の家が建っている。向こうにはそそり立つ崖があり、一方には山が重なり、一方には白い波が立ち、千切れた雲が飛んでいる。かつて国中の人間から、ジョン・ガブリエルと仰ぎみられた男が、その氷の牢獄に閉じ込められている。憎しみをたぎらせた妻とたった二人で。彼は、天上から一瞬のうちに奈落の底へと落ちてしまったのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIEKKO
1
２年くらい前に観た劇のおさらい。野望と愛、全てが費え、自分の分身となるはずの息子にすら去られた男。彼への愛憎を断ち切ることのできない妻とその妹。惨めなはずの姿が雄々しく見えるのは彼らが一瞬たりとも自分に嘘をついたことがないからだろう。これは上演用の抜粋版だということ。若い世代の物語も描かれた原作も読んでみたい。2012/09/24
