内容説明
科学者の目がとらえた原爆の爪痕が六十余年の歳月を経て、いま甦る。東京大学総合研究博物館の標本室に眠っていた被爆の石たち、ヒロシマ・ナガサキの生き証人たちが、あの惨状を語り始めた…。謎に包まれたフィールドノートを一人の鉱物学者が読み解き、真実に迫る。
目次
第1章 プロローグ
第2章 「石の記憶」のいきさつ
第3章 被爆調査団―原子爆弾災害調査研究特別委員会
第4章 渡邊調査日記
第5章 渡邊の目
第6章 解明された謎と残された謎
第7章 エピローグ
付録 渡邊武男報告書(草稿)
著者等紹介
田賀井篤平[タガイトクヘイ]
1943年東京生まれ。東京大学理学部、理学系大学院を修了後、フランクフルト大学・東京大学に勤務。理学博士。東京大学総合研究博物館名誉教授・特任研究員。専門は鉱物学、結晶学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Танечка (たーにゃ)
1
「広島で採集した狛犬の頭」とされる石の来歴を、当時の記録と現地調査を基に明らかにしていく。魅力的な課題の提示、丁寧な調査過程の説明、さまざまな仮定と検証から導き出される調査開始時には考えられなかった結論…。ページをめくる手が止まらない非常にエキサイティングな本でした。2014/08/31
瀧本往人
0
副題にあるとおり、これぞまさしく「科学者の目」である。とりわけ「ヒロシマ・ナガサキ」という、きわめて「政治」的な領野に対してこうした丹念に仕上げられた調査結果は重要である。(しかも本書が1,200円という低価格なのも驚きである。) また「恩師」への敬慕がひときわ光っている。http://ameblo.jp/ohjing/entry-11741891266.html2014/01/03