内容説明
一九六九年、シングル盤『ジャン』でデビュー。六十年代後半から始まる日本のオリジナルロックシーン幕開けの一翼を担い、七十一年『回帰線』、七十三年『南正人ファースト』などの伝説の名アルバムを発表。以来、放浪のビートニックシンガーとして活躍し続けている南正人。本書は、ミュージシャンになる前の大学生・南正人が、一九六四年から一九六六年にかけて、メキシコ、アメリカ、ヨーロッパと二年に及び放浪し続けた青春の軌跡である。また同時に日本の元祖的バックパッカーの貴重な記録でもある。現在では世界各地で日本のバックパッカーたちに出会えるが、当時は一般人の海外渡航自由化がスタートしたばかりでその姿はほとんどなく、海外放浪などまさに危険覚悟の「冒険の旅」であった。なお、この原稿は海外放浪から帰国した直後の今から約四十年前(一九六六~七年)に書かれたものである。
目次
第1章 憧れの海外渡航―日本を飛び出し、外国へ行くことそのものが夢だった
第2章 メキシコシティ―巨大な緑の街路樹が、幅広い道路をおおう『森と水の都』
第3章 グアダラハーラ―古い寺院が多い「メキシコの京都」に住む独特のハリスコ美人
第4章 再びアメリカ―アスタマニャーナの国からタイムイズマネーの国へ
第5章 初冬のロンドン―どんより暗いロンドン市街で出会った青空のマドモアゼル
第6章 寛容なスウェーデン―外が明るくなるのは30分足らず、後はまるで夜中の北欧の冬
著者等紹介
南正人[ミナミマサト]
1944年3月3日、東京・阿佐ヶ谷生まれ。東京外語大学スペイン語科卒。64年、二十歳を迎えた大学在学中にメキシコ、アメリカ、ヨーロッパ各地を2年間放浪。帰国後、ベトナム戦争反対や学園紛争の時代背景のもと、PPMやブラザーズフォーなどの英語の歌をそのままコピーするカレッジフォークに対し、日本語で歌うことを意識した音楽集団“アゴラ”を結成する。高田渡、遠藤賢司、真崎義博などと共に、路上や反戦集会で自作のメッセージソングを歌い始める。69年、初シングル『ジャン/青い面影』(RCA)をリリース。71年、初アルバムにして伝説のアルバム『回帰線』(RCA)を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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