内容説明
事物としての絵画が、いかに絵画的な文学表象にまで導かれてゆくのか、そしてどのようにことばで組み立てられた固有のコスモロジーに組み込まれ、作品を突き動かしてゆく要素となってゆくのか、そのダイナミズムを明らかにしてゆきたいと思う。
目次
序章 平安文学と絵画に関する問題提起
(『源氏物語』の遊戯―人物照射・コミュニケーション・“場”の形成;『紫式部日記』における絵画性―比喩表現に潜む意識)
第1章 物語の生成に係わる絵画
(若紫の君―絵と雛遊びに興ずる少女;物語絵の女―“絵を見る心”の発動と物語の表現 ほか)
第2章 絵画を享受する者たち(男たちの物語絵享受;垣間見の時空―男の視線・女の視線 ほか)
第3章 日記文学の表現と絵画(行事記録における俯瞰的観察の表現;物語絵的時空の発見―行事記録体との相剋 ほか)
結語 絵画から文学へ―絵画的イメージと物語の叙述
著者等紹介
川名淳子[カワナジュンコ]
1957年、東京都生まれ。1990年、立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程単位取得。2004年、文学博士。東横学園女子短期大学助教授(2005年3月まで)を経て、大東文化大学・立正大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山がち
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タイトルにある通り絵画を中心としていてはいるが、物語に限られているわけではない。「源氏物語」と「紫式部日記」を中心に紫式部の文章の表現法について考察しているといったほうがしっくりくるように思われる。さらに言うと、文化的コードとしての面が強く、絵以外の文化についてもかなり重視している。また、文章表現に限らず、絵そのものの特質に迫ろうとしているところにも、筆者の苦心がうかがわれる。全体的には難しく理解できないところがほとんどだったが、絵画的な視点が紫式部の文章に影響を与えているということは辛うじて理解できた。2013/05/10
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