内容説明
世界中でもっとも読まれているエンターテインメント作家の一人、D.マレルが三十年にわたり書きためてきた中・短編を集めた読者待望の作品集。アメリカ・ホラー作家協会が選ぶブラム・ストーカー賞を受賞した作品を多数収録した全十六編は、すべてのミステリ・サスペンスファンに贈る衝撃の一冊。
著者等紹介
マレル,デイヴィッド[マレル,デイヴィッド][Morrell,David]
1943年カナダ生まれ。ペンシルベニア州立大学でアメリカ文学を専攻し、博士号取得。’72年、処女作『一人だけの軍隊』(ハヤカワ文庫)が世界的なベストセラーとなり、エンターテインメント小説の第一人者となる。現在はサンタフェ在住
定木大介[サダキダイスケ]
東京生まれ。早稲田大学法学部中退。会社勤務などを経て、フリーランスで翻訳業に従事。第一回インターカレッジ札幌翻訳コンクール最優秀賞受賞者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
30
映画『ランボー』の原作者の自選短編集。表題作はゴッホ、「再来」はジェイムズ・ディーンの作品や人生をモチーフにしているが、ラストにはそのことを忘れさせるくらいの衝撃が。作者は自作をダークサスペンスと呼び、ホラー風味が強いが、ミステリファンにも好まれる作風。この作家はアメリカの広大な大地や悪天候への恐怖心があるみたい。出版社に注文。短編集には、各編の原題を本のどこかに必ず明記して。2010/03/17
酔花
4
デイヴィッド・マレル『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』読了。マニアックな出版社から出ている本ですが、取り寄せてでも読む価値のある短篇集。超自然的なもの、人間の狂気――マレル曰く、「自分が最も恐れているもの」が描かれた諸作は鮮やかな戦慄を描き出す。いずれも面白く読みましたが、特に後半に並ぶ3作は素晴らしいです。ホラー小説愛好家の宮部みゆきさんも推薦した「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」、最愛の息子を亡くしたマレルの慟哭が読み手に反響する「墓から伸びる美しい髪」「慰霊所」 一読の価値があります。2020/09/21
masaru
4
大好きです。こういう短編集を読みたいと思っていました。2011/06/01
麻耶
3
表題作が気になって。30年にわたる短・中編集で初期の作品は直接的な恐怖を描いているのに比べて後半はどちらかと言えば直接的な恐怖より叙情的な作風。アメリカ的なシニカルなユーモアと荒野、資本主義的な野心等が絶妙なスパイスとなってスリラーであるが怖いだけでは無い絶妙なバランス。「マンボー・ジャンボー」以降からが読み応えもあって面白かった。一番好きな作品は奇妙な像を巡る野心と成功の暗い側面を描いた「マンボー・ジャンボー」。作者の自叙伝めいたまえがきやエッセイも収録されていて興味深く読める。2024/02/09
すけきよ
3
ホラー映画でよくある、「そこを覗き込んだら絶対ヤバイって!」というシチュエーションの作品ばかり。追究しなければ、幸せでいられたはずなのに、秘密を明かそうとしたばかりに破滅していく主人公たち。お気に入りは、『滴り』『ブラックイブニング』『ひそやかな笑い声』『背後に絶えず聞こえるのは』『贖罪』『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』『慰霊所』2006/02/21