内容説明
閉塞する恋愛・セックス、行きづまる家族、揺らぐ結婚制度―。この危機と転換の時代に求められる人間関係とは、どのようなものか。恋愛・家族至上主義を超えて、新しい男女の関係やライフスタイル、家族の形を大胆に提示する、著者渾身のマニフェスト。
目次
1 恋愛至上主義から友人主義へ(恋愛と暴力の危うい関係;イメージでする恋愛、記号でするセックス;同性愛者に見る友人主義 ほか)
2 性の商品化からユマニスムへ(性の復讐―東電OL殺人事件が語りかけているもの;買春は心をケアする労働か;性教育はこのままでよいか)
3 開かれたパートナーシップへ(結婚と友人主義は両立できるか;食事同盟―新しい協同の場;家族の壁を低くする ほか)
著者等紹介
佐藤和夫[サトウカズオ]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、千葉大学教育学部教授。哲学、文化論、ジェンダー論専攻
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感想・レビュー
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katoyann
19
哲学者による恋愛至上主義についての考察。恋愛は無条件の肯定を伴うため、その承認を得られることは幸福感をもたらすことは確かだが、同時に排他的な性愛関係であったり、恋人への独占欲を伴ったりするという意味で、DVに繋がっていくような暴力的関係性を潜めている。また、ジェンダー化された恋愛には、性愛関係において女性の従順さが求められるので、実は支配と従属の論理も潜んでいるのだという。性がコミュニケーションから離れてモノ化する現実に懸念を示し、性愛を介さない友人関係への志向性に希望を託すという考察だ。面白かった。2024/10/31
いけぽん
0
受けてきた教育や時代の社会通念などに、性に対する自分自身の価値観が限定されていたことを振り返ることができました。恋愛関係でない男女間の関係、生殖や子育てだけでない家族のあり方など、もっと実態や気持ちに沿った新しい関係をつくっていく必要があると思いました。2023/06/01
ひつまぶし
0
出版当時の『仕事のくだらなさとの戦い』(2005年)で著者に興味を持って買ったものの、ずっと読んでいなかった。今回わりと自然と書棚から取り出して、すんなりと読むことができたのは、ようやく読めるようになったということだし、今読むべき本だったのだと思う。現代社会は常に満たされていることを目指し、それを奨励してもいる。そこがまちがいの始まりで、恋愛至上主義にも大いに当てはまることだ。しかし、今さらこれに向き合い始めるのかという気もするし、今からでもまだまだ向き合う余裕やその甲斐はあると考えるべきかというところ。2022/11/03
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