内容説明
わたくしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。わたくしは、そういうきれいなたべものや、きものをすきです。これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
著者等紹介
宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
明治29年(1896)~昭和8年(1933)。詩人・童話作家・教育者・農芸化学者・宗教者として、全生涯を貧しい東北農民たちのしあわせのために力ををつくした
高田勲[タカダイサオ]
1938年、島根県生まれ。日本美術家連盟会員
小西正保[コニシマサヤス]
1930年、東京生まれ。長く児童書の編集者を勤める。かたわら児童文学評論を執筆。日本児童文学者協会々員
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