内容説明
当時、40歳代の串田孫一の、山にまつわる思想、思索などを平易な文章で綴った随想集。四季にわたって山行をした紀行も多く、内容はバラエティに富んでいる。1957年に実業之日本社から出版され、好評を博し、62年『山のパンセ2』、63年『山のパンセ3』があいついで出版された。本著作は全91編を収録し、1冊に合本されたもの。超ロングセラーとなった串田文学の代表作である。
目次
1(山での行為と思考;ふたりの山;ひとりの山 ほか)
2(岩壁;残雪の頃;幻影 ほか)
3(山の歌;朝の祈り;岩の沈黙 ほか)
著者等紹介
串田孫一[クシダマゴイチ]
1915年、東京生まれ。詩人、哲学者、随筆家。東京帝国大学哲学科卒。同人誌『冬夏(とうげ)』を創刊、小説などを発表する。詩誌『歴程』『アルビレオ』に参加。中学時代から登山を始め、のちに東京外国語大学教授で教鞭をとるかたわら山岳部長に就任。1958年、山の文芸誌『アルプ』を創刊し、83年、300号で終刊するまで責任編集者を務めた。2005年、90歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にし
53
山での行為と思考。『なんで山に行くの?登るのシンドイし汚れるし楽しいの?』などと言われる事があります。なんと答えたらいいのか解らないけど、でも登ると解るんじゃないかなと思います。特に何か心がイッパイになってる時は…登山というシンプルな思考の行為が心と体に響くよと。私がうまく言えないその答えが『山のパンセ』には書いてあります。山に登る人も眺める人も山の小説を読んだ事がある人も、この本を手にしてくれたら串田先生の文を通して気持ちを共有出来る気がします。2014/04/28
Shoji
49
こよなく山を愛する著者が約60年前に書いた山のエッセイ。ゴアテックスなんて素材はなく、ツエルトもザックもキャンバス地だった筈。もちろんGPSなんて概念すらない時代。そんなバンカラで古き良き時代のお話。今も昔も山を愛する人は考えることは同じようで。山が好き、ただそれだけのようです。楽しく読めました。2019/10/08
KEI
38
いつも聴いているラジオ「山カフェ」で取り上げていたので手にした本。60年前の著作だが古さは感じない。 哲学者でもあり、随筆家、また絵も描いて多彩な著者の山にまつわるエッセイ。著者の山への憧憬がすごく伝わって来た。山は登るだけのものでは無く、楽しむものだと。山小屋に泊まる事もあるが、山を彷徨しながら野宿が楽しいとも書かれていた。1番面白かったエピソードはスキーを家の階段で滑り、スキーを折ってしまい苦情を言ったら取り替えてもらえた話だった。哲学者らしく示唆に富む話も多かった。2021/08/19
禿童子
13
文庫本500ページのうち178ページで返却期限到来。私が生まれるちょっと前の頃の登山を趣味とする外国文学者のエッセイ。当時40代の著者の山とのつきあい方が淡々と記される。スキーブームが始まる時期で、山スキー愛好家がリフトのあるスキー場にきわめて批判的なのが興味深い。登山がハイカラで高尚な趣味と考えられていたことが透けてみえる。京大のマナスル登頂でわきたっていた時代でもある(槇隊長は著者に山スキーを教えた師匠)。山小屋で歌をうたって朗読をする。どこまでも健全な書きぶりが安心でもあり、やや退屈でもある。2017/06/28
紫羊
9
版を変えての再読。時代が変わっても古びることのない名文エッセイです。山を歩きたくなります。2019/02/08
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