内容説明
本書は20世紀前半を代表する数学者の1人であるヒルベルト(1862‐1943)が彼の研究協力者ベルナイス(1888‐1977)と著わした不朽の名著“Grundlagen der Mathematik 1,2”第2版(ドイツ語)の主要部分の邦訳である。有限の立場から数学の基礎付けを行う、というヒルベルトのプログラムは、1930年代の初めに出現したゲーデルの不完全性定理により、大きな軌道修正を余儀なくされた。ヒルベルト学派の研究成果の集大成をなし不完全性定理以降の状況にもいち早く答えている本書から、我々は、ヒルベルトのプログラムの21世紀における意義や可能性を読みとることができるであろう。
目次
第1章 公理論の無矛盾性の問題を論理的な決定問題として扱うこと
第2章 述語計算とそれに関連した形式的体系について
第3章 ヒルベルトのε‐記号による束縛変数の除去
第4章 ε‐定理と関連した手法による数論の証明論的考察
第5章 ε‐記号の論理学的形式的体系の研究への応用
第6章 数論の形式的体系の無矛盾性証明