出版社内容情報
《内容》 1日を1周期とする生物リズム,サーカディアンリズムは,生物進化の初期に獲得された生命機能であり,単細胞生物からヒトに至るまで,現在の地球に生存する多くの生物種に普遍的にみられる生命現象である.
近年のサーカディアンリズムの研究において特筆すべき進展は,これを規定する時計遺伝子のクローニングと性状解析が爆発的に進み,24時間の周期性を生み出す分子サイクルの骨格がみえてきたことであろう.そして現在では,生物時計を特殊な細胞装置として記述することはもはや適当ではなく,細胞システムとして理解する必要性に迫られるようになった.また,ヒトをはじめとする多細胞生物においては,個々の時計細胞が階層的に集合することによって大きな時計体制が形成されており,細胞から個体というレベルにおいてもシステムとしての理解が求められている.
本書は,1999年2月に出版された「生物時計の分子生物学」(海老原史樹文・深田吉孝 編)が広い読者層に好評を得たことを受け,その後の5年間の爆発的な生物時計研究の展開を紹介する目的で企画された.しかし,あえて第2版とは謳わず,前回とは異なる観点から編集方針を定め,全体の構成も大きく変えた.特に本書では,1999年の時点では十分な解説を行うことができなかった時計遺伝子を中心として,この研究分野での分子生物学的な研究に焦点をあてている.
急速に研究が進むサーカディアンリズム研究における最近の知見を紹介する待望のレビュー集.生物時計の研究者だけでなく,遺伝子発現制御やタンパク質機能調節,シグナル伝達の研究者もみな必読.
《目次》
I.時計遺伝子総論
1.シアノバクテリア
2.高等植物
3.ショウジョウバエ
4.脊椎動物
5.哺乳類
II.時計遺伝子各論
1.Per遺伝子
2.Clock遺伝子とDec遺伝子
3.Bmal1遺伝子
4.Cry遺伝子
III.生物時計への多面的アプローチ
1.光入力系と出力系
1.1.網膜の概日時計機構
1.2.概日光受容体とは何か
1.3.時計シグナルの食事・睡眠・生殖への出力
1.4.植物の光周性花芽誘導
2.哺乳類の概日時計 -中枢時計と末梢時計-
2.1.視交叉上核の概日時計 -形態学的アプローチ-
2.2.視交叉上核の概日時計 -生理学的アプローチ-
2.3.動物の中枢時計と末梢時計
2.4.時計モデルとしての培養細胞
3.概日リズムの遺伝学
3.1.ゼブラフィッシュ変異体スクリーニングによる時計システムの解析
3.2.順遺伝学アプローチを用いた概日行動遺伝子群の同定
3.3.ヒトの時計遺伝子多型と疾患
4.概日リズムの理論的解析
4.1.概日時計のシステムバイオロジー
4.2.リズムを生み出す数理モデル
内容説明
時計遺伝子のクローニングとその解析が爆発的に進んだことで、約24時間の周期性を生み出すシステムの骨格がみえてきた。複雑に絡まり合う時計遺伝子のネットワークがリズムを刻む。サーカディアンリズム研究のすべてをまとめた待望のレビュー集。
目次
1 時計遺伝子総論(シアノバクテリア;高等植物;ショウジョウバエ ほか)
2 時計遺伝子各論(Per遺伝子;Clock遺伝子とDec遺伝子;Bmal1遺伝子 ほか)
3 生物時計への多面的アプローチ(光入力系と出力系;哺乳類の概日時計―中枢時計と末梢時計;概日リズムの遺伝学 ほか)
感想・レビュー
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