出版社内容情報
《内容》 遺伝情報を担うゲノムDNAは,活性酸素や放射線などによってさまざまな損傷を受けている.DNAの傷は生物機能全体を損ない,個体死をもたらすだけでなく,子孫にまで影響を残す.そのため,生体は,DNAの傷を治してゲノム情報の維持を行う「修復」能力と,DNAの切断・再結合によりゲノム情報の交換・置き換えを行う「組換え」能力をもっている.
最近では,がんなど,DNA修復やDNA組換えが正常にはたらかないことを原因とするさまざまな疾患が知られるようになり,発生・老化という個体の生涯のなかでの修復・組換えの機能が明らかにされつつある.また,DNA複製,細胞周期,シグナル伝達などとの密接な関連もわかってきた.
研究の進展が急で,研究の流れそのものが変わりつつある現状を考慮し,本書は,むしろ研究の進め方そのものの進歩に視点をおいて,これまでの研究を一覧し,現状を総括して,今後の研究にどのような戦略を立てられるかを探ることをめざしとりまとめた.
DNA修復とDNA組換えについて,基礎から最新の知見までをわかりやすく解説する待望のレビュー集.修復・組換えの研究者だけでなく,転写,複製,細胞周期やシグナル伝達,あるいは,がん研究にかかわる研究者はみな必読.
《目次》
1.DNA修復研究の進展
2.DNA組換え研究の歴史
3.DNA修復・組換えの異常と疾患
4.DNA損傷とその修復系
5.遺伝学的アプローチ
6.細胞生物学的アプローチ
7.生化学的アプローチ
8.分子機能研究によるアプローチ
9.今後の展望
-
- 和書
- 大統領の百面相