出版社内容情報
《内容》 プロテアーゼによって触媒されるペプチド結合の切断反応はタンパク質の分解・消滅,すなわち,タンパク質の「死」に通じることが多い.これがタンパク質分解の一般的なイメージであろう.しかし,プロテアーゼ反応がもつもうひとつの側面,ペプチド結合の切断によりタンパク質の機能や活性が発現する場合,すなわち,プロテアーゼがタンパク質の「生」にかかわる場合もタンパク質分解の重要な一面である. 多くのタンパク質において,生合成されたのち機能を発揮するまでにN末端付近でペプチド結合の切断が起こっている.このほか,シグナル配列,プレ配列,プロ配列などが切断される例も多い.また,前駆体タンパク質として生合成されたのち,適当なプロセシングを受けて成熟タンパク質が切り出される場合も多く,機能を発揮しているタンパク質がプロテアーゼでさらに限定分解を受け,活性が質的量的に変化したり,活性制御機構や局在が変化する場合もある.これらは,すべてタンパク質の「生」に関するタンパク質分解である. このように,タンパク質分解はタンパク質が生まれてから死ぬまでのあらゆる過程で働き,その結果生じるタンパク質の「生」と「死」が細胞機能・生物機能にきわめて大きな影響を与える. タンパク質分解のすべてをまとめた待望のレビュー集.さまざまな細胞機能を研究する人すべてに必読.【目次】Ⅰ.はじめにⅡ.タンパク質代謝の機能と意義 プロテアーゼの活性調節とプロテアーゼインヒビター/タンパク質の代謝回転Ⅲ.タンパク質分解の分子機構 エンドソーム-リソソーム系とカテプシン,シスタチン/ユビキチン-プロテアソーム系/ATP依存プロテアーゼ/カル パイン-カルパスタチン系/マトリックスメタプロテアーゼとTIMP/ADAMとADAMTSファミリーⅣ.タンパク質分解と細胞機能 アポトーシスとプロテオシリス/細胞周期・細胞分裂/タンパク質の品質管理/抗原のプロセシングとプロテアーゼ/タ ンパク質の生合成とプロセシング/輸送とプロセシングⅤ.タンパク質分解の異常と病態 筋ジストロフィー症/ウィルス感染の制御因子細胞性プロテアーゼとプロテアーゼインヒビター/βアミロイドタンパク質 の代謝とアルツハイマー病/歯周病とプロテアーゼ-歯周病菌のヘムおよびアミノ酸獲得機序-神経線維腫症2型タン パク質のカルパイン分解による腫瘍発生機構Ⅵ.トピックス オートファジー研究の展開/脱ユビキチン化酵素/トリコーンプロテアーゼ/lkBカテニンの分解と情報伝達
内容説明
プロテオリシスが生体機能を制御する。プロテアーゼによるタンパク質分解は、単にその死を意味するのではない。新たな機能や活性の発現、すなわち、その生をも司っている細胞周期、アポトーシス、シグナル伝達、細胞内物質輸送などタンパク質分解のすべてをまとめた待望のレビュー集。
目次
1 はじめに
2 タンパク質代謝の機能と意義(プロテアーゼの活性調節とプロテアーゼインヒビター;タンパク質の代謝回転)
3 タンパク質分解の分子機構(エンドソーム‐リソソーム系とカテプシン、シスタチン;ユビキチン‐プロテアソーム系 ほか)
4 タンパク質分解と細胞機能(アポトーシスとプロテオリシス;細胞周期・細胞分裂 ほか)
5 タンパク質分解の異常と病態(筋ジストロフィー症;ウイルス感染の制御因子、細胞性プロテアーゼとプロテアーゼインヒビター ほか)
6 とぴっくす(オートファジー研究の展開;脱ユビキチン化酵素 ほか)
著者等紹介
木南英紀[コミナミエイキ]
順天堂大学医学部
鈴木紘一[スズキコウイチ]
東京都老人総合研究所
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