内容説明
チェルノブイリ、スリーマイル、フクシマ…。葉祥明が25年もの長きにわたり描きためていた“原発のある風景”。「朝をむかえる」ことのできる歓びや希望の普遍性を感じてほしい。心の奥深いところにとどく、静かな絵本。
著者等紹介
葉祥明[ヨウショウメイ]
1946年7月7日熊本市に生まれる。1990年創作絵本『風とひょう』でイタリア・ボローニヤ国際児童図書展グラフィックス賞を受賞。1991年神奈川県北鎌倉に「葉祥明美術館」を開館。1996年絵本『地雷ではなく花をください』をボランティア活動として描く(日本絵本賞読者賞を受賞)。1998年創作絵本『森が海をつくる』第8回けんぶち絵本の里大賞びばからす賞受賞。2000年長崎原爆絵本『あの夏の日』刊行(第6回平和協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
27
抽象的な表現。直截的な表現をしなくても、絵や雰囲気で意図を伝えることができるものが絵本なんだと思う。そこが良くて、読み手によって想像を膨らますことができる。チェルノブイリ原発事故後にすでに着手していた作品は、今回起きた福島原発事故を契機に発表されるに至ったという。少女の目の前に現れた四角い箱。その箱は、日に日に様相を変える。少女が見たものは、あなたの目にどう映るか、どう感じるか…。あなたがこれを見て、何を感じるか僕は知りたい。2012/04/01
野のこ
16
ほかほか太陽のなか、ほわほわひつじさんと一緒で楽しいな。でもあれ?黒くて四角いの何だろう。ことば少なく優しい絵の中での異物。色のトーンが暗くなり死を感じました。女の子がこわい夢から覚めて安心して菜の花畑をかけめぐれる美しい世界にもどれますように、と祈るばかりです。複雑な気持ちになりました。2016/12/09
海(カイ)
13
【図書館】とても静かな絵本です。その分、心に響きます。2018/04/21
新田新一
4
葉さんらしい美しく、端正な絵本です。でも、途中から不穏な雰囲気が出てきます。地平線上に見える四角い物体が、急に巨大化して読み手の心を搔き乱します。最後まで読んだ時に、この四角いものの正体が分かります。同時に、物語自体が作者の祈りでもあることが分かって、心を揺さぶられました。美しい絵本を通して、現代社会の大きな問題を訴える作者に脱帽です。2023/06/04
紫
2
美しい色彩の風景に突然入り込む真っ黒な物体の異様さと言ったら…。最終ページは深いと思いました。文字がほとんどない分、いろいろなことを考えさせられます。2012/01/19
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