内容説明
内燃動車(気動車)は、原動機=ガソリン/ディーゼル機関を搭載する客車です。新しくはハイブリッド車、路面・鉄路とも走行できるDMVも含まれます。わが国で最初の内燃動車が登場したのは1920年、以来90年余の歴史を通して、ほぼ国産の技術をもって研究・開発されてきました。本書では、国鉄(JR)・私鉄を問わず、これらほぼすべての内燃動車を取り上げて、できる限り多くの写真を添えて解説しました。
目次
黎明期のわが国内燃動車
わが国内燃動車の基本構造
国鉄制式動車
戦前のディーゼルカー
戦時中/敗戦後の混乱期
1951年以降の国鉄動車
次世代機関の開発難航
直噴式機関やっと
少数車輌たち
私鉄DMH17依存症候群とその後
レールバスとNDC
戦後の特異な車輌群
ディーゼルカーの現在/将来
著者等紹介
湯口徹[ユグチトオル]
1936年佐賀県鳥栖で出生するが、父親が転勤族とあって仙台を北限に各地を転々。同志社大学経済学部卒業。在学中仲間と共に同志社大学鉄道同好会を設立し、現在同OB会所属。主に内燃動車、木製客車、地方小私鉄―中でも軽便鉄道に大いなる興味を継続中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えすてい
7
著者はRMライブラリーなどでしばしば執筆しているが、この本ではずいぶんと辛口である。著者は鉄道工学の専門家ではなく素人が好き勝手に書いたものだと断っており、必ずしも「正確さ」が担保されているものではない。世界でも希に見る国鉄の過剰なまでの統一化は私鉄でもDMH17エンジンしか知らない事態を招き技術停滞が恒常化したが、直噴エンジンの時代になっても著者の目線は厳しい。ローカル線の相次ぐ廃止で気動車の需要は縮小ばかりで今後も日本の気動車市場は先細るだろうが、現在のハイブリッドや電気式はどう見ているのだろうか。2021/07/26
六点
2
戦前の本邦私鉄内燃動車史が「ベンチャー期」と名付けられているが、朝倉軌道を始めとする胡散臭い企業が、やはり登場しており、胡散臭さをぶちまけている。また、後半の国鉄本社による過度の硬直した標準化の失敗なども大きく取り上げている。石井幸孝氏の公式的な著作に比べ、よほど我が国鉄道技術力の限界を知らしめているのではないだろうか。2014/12/09
やまほら
2
著者らしい内容の深さと読みやすさを兼ね備えた本。特に、前半の戦前部分。後半の国鉄の標準化に対する批判的な文章も、あまり雑誌等では見られないものです。2014/01/11