内容説明
氷の壁に活動を阻まれ続けた「第12次南極越冬隊」。日本の南極観測史上最長の54日間にわたり、氷海に閉ざされ身動きがとれない状況、ビセットを経験した。何度とない体当たりにもびくともしない分厚い密群氷の中から脱し、どのような観測成果を得て、日本へと帰還したのか。他では読めない南極観測の話を一挙公開。
目次
第1章 昭和基地を目指して
第2章 試練の12次隊
第3章 昭和基地
第4章 昭和基地における観測活動
第5章 ロケットによるオーロラ観測
第6章 冬季内陸旅行
第7章 内陸基地
第8章 越冬の終わり―帰国に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
5
南極観測基地関連の本が好きなのですが本書も楽しめました。極限環境での様々なスキルやバックグラウンドを持つ人々の活動記録は何度読んでもわくわくします。非日常的な環境と奇妙なくらい日本と変わらない日常の習慣のミスマッチが面白いです。それから文字通り手作りで拡張していく「基地」に憧れますね。2014/11/28
こばちゃん
1
第12次南極越冬隊に参加した著者らの記録である。ユーモアのある文章で読みやすい。今から40年前、平均年齢30歳の若者達が、大学や企業、官庁から集められ、モールス信号による短波無線、天体観測による位置測定により移動し、電卓も無い中で三角関数表を駆使して、今なら一秒で済むものを極寒の中一晩掛けて計算したというのには、隔世の感がある。披露したい箇所は多いのだが、日本の家族からの電報について、文字の節約のため暗号を互いに決めたというのは興味深く読んだ。そのなかに、アナタ、という三文字の電報があったという。2012/12/25